はじめに
大人気少女漫画「君に届け」の番外編として描かれた『君に届け 番外編~運命の人~』全3巻。
爽子のライバルだったくるみちゃん(胡桃沢梅)を主人公に、大学生になった2人が描かれているお話なんですが、いきなり出てきた相手役・赤星に驚いた人も多いのではないでしょうか。
知らない人からすると「え、誰?」って感じですよね。作中でちょこちょこ触れている通り、赤星は椎名軽穂先生の連載2作目「CRAZY FOR YOU (クレイジーフォーユー) 全6巻」にでてきたキャラクターです。
筆者も以前読んだことはあるのですが、あまり覚えていないというのが正直なところで…。
「ユキ…赤星、う…頭が…」みたいな状態だったので、今回は「CRAZY FOR YOU」のストーリーをざっくりとご紹介します。
たぶん一度読んだ人なら「あぁ、そういえばこうだった!」となると思います。
それではどうぞ!
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赤星栄治のキャラ設定
まず「君に届け」では、赤星は爽子の従兄弟という設定です。爽子のお父さんの姉の一人息子。
ただ「CRAZY FOR YOU」では従姉妹がいるといった設定は全くでておらず。(前作なので当たり前ですが)
最初は、友達のユキと女の子を引っ掛けて遊んでいる、ちょっとチャラチャラした男の子として描かれています。
このチャラ星が、くるみと出会う赤星になるまでの青春を描いているのが「CRAZY FOR YOU」なんです。(※主人公ではないです)
CRAZY FOR YOUのあらすじは?
女子高育ちの高村幸(さち・主人公)は、彼氏いない歴17年。天然おとぼけキャラも合間って、これまで女子扱いとは無縁の人生を過ごしてきた。
ある日、友達の朱美(あけみ)の紹介で朱美の彼氏・雄平の通う男子高の面々と合コンをすることに。そこで幸はユキちゃん(宮本幸浩)という男の子に出会う。
はじめて自分を「かわいい」と言ってくれたユキのことがどんどん大好きになる幸。
ユキに「さっちゃんだけはそういう対象に見れない」と言われても、幸は「じゃあ友達になれる!」とめげずにユキを追いかける。
ところが、ユキの誕生日に雨にふれられて風邪をひいた翌日、ユキの部屋にお見舞いに行った赤星、幸、雄平の3人は、そこでキスをするユキと朱美の姿を目撃してしまう。
ユキと朱美は幼なじみで、中学生のとき朱美の父が浮気して出ていったのをきっかけにお互いに強く意識していた。(※ほぼ恋人まで秒読みみたいな状態)
しかし臆病で強がりな朱美は、父親に似て女にだらしないユキの性質(※約束を忘れたり、女の子に期待を持たせるような行動をすること)を信じられず、実直に告白してくれた雄平と付き合ってしまう。それから2年弱が経ち、ユキは朱美への当て付けで、朱美の友達のいる合コンに参加したのだった。
幸は心を閉ざそうとする朱美に正面からぶつかる。
この頃から赤星は次第に幸に惹かれるように。
文化祭の日、朱美は雄平のもとへは行かずにユキのところへ向かう。過去の気持ちを確かめ合ったユキと朱美はようやく付き合うことになったのだった。(2巻)
朱美と復活したユキを必死にあきらめようとする幸。赤星は幸に告白し「答えをだすならオレをみてからにしろ」と側に寄り添う。
ユキの優しさに触れるたびに辛くなる気持ちを必死にごまかそうとする幸。ところが朱美とユキの交際はあまり上手くいっていない様子。
修学旅行の際、朱美は待ち合わせをしていたユキを放置して、別れたはずの雄平の方へ駆け出してしまう。
幸は不安そうなユキにお守りを渡して励ます。そして自分を自然と笑顔にさせてくれる赤星と真っ直ぐ向き合わなければと決意する。
過去の自分を変えて朱美を大切にしようと一生懸命なユキだったが、朱美とユキの気持ちは噛み合わないままだった。
とあるライブの日。ユキとの待ち合わせに急ぐ朱美は車に轢かれそうになったところを雄平に助けられる。骨折までして自分を守ってくれた雄平とユキの間で朱美の心はさらに乱れる。幸は心が震えるのはユキだけだと実感し、ユキを好きで居続けることを決意する。
そしてクリスマス。幸は赤星をはっきりとふってしまう。一方の朱美も、過去と蹴りをつけて自立して歩いていきたいとユキに別れを告げる。
朱美とユキの関係は、中学のあの時にお互いに言葉を尽くして解決しなければならないものだったのだ。朱美は雄平に出会ったからこそユキを信じることができるようになった。そう言って朱美はユキから離れていった。
朱美に別れを告げられたユキは荒れに荒れて、再び女遊びをするように。
そんなユキを心配する幸は何度も駆けつけようとするが、遂にユキは「さっちゃんにだけは嫌われたくない」という本音を隠して、幸に手を出してしまう。幸は弱音を吐くユキに「そんな顔は似合わないよ」と言って、本当の別れを告げる。
季節は巡り、幸たちは3年生になった。
ユキと別れた朱美は受験に意欲を燃やし、いつか自立した姿になって、例え振り向いてもらえなくても自分から雄平に告白するのだと誓う。
幸と最後に会ってから落ち着いた様子のユキは、赤星や雄平に手料理を振る舞いながら、今まで暮らしたアパートを何故か離れがたく思っていた。
街で偶然幸をみかけたユキは「ずっと幸に会いたかった」ことを実感し、もう幸のことしか可愛いと思えないと告白する。最初は「だまされてあげる」と言っていた幸だが、本当はユキが嘘をつけないことをずっとわかっていた。
これからはふとした瞬間に幸せを感じられる、そんな時間をふたりで過ごしていくー
END
「CRAZY FOR YOU」と「運命の人」の繋がり
「CRAZY FOR YOU」は幸とユキの2人が主役、そして朱美、雄平、赤星をいれた5人の青春ストーリーです。
あれ?とんちゃんは?
じつは幸と朱美が仲良い友達グループの中には、とんちゃんともう1人女の子がいました。4人で仲良しだったのです。
ところが後半に進むに連れ、少しずつとんちゃんの方が目立つように。「君に届け」の爽子、矢野、千鶴の3人組はここから生まれたのではないかと推測します。
赤星は最後まで幸に手を出すこともなく。むしろクズだった赤星を『恋のわかる男』に変えたのが幸だったと言えるでしょう。これが「運命の人」に繋がります。
赤星のちょっとチャラっとしてる所とか、過去の恋愛遍歴とか、相手を翻弄するような感じが「CRAZY FOR YOU」で見られます。「運命の人」の赤星の高校生verそのままですね。
「運命の人」では20歳の設定なので「CRAZY FOR YOU」から3年後の世界ということです。
ちなみに、作中で朱美とユキは陰と陰、幸と雄平が陽、赤星は幸ともうまくやっていけると描写されていたのが印象的でした。
以前読んだときは朱美の優柔不断っぷりにイライラしてた記憶があるのですが、今読み返すと5人の気持ちそれぞれ筋が通っているなぁと思います。「運命の人」もそうですが、感情の機微がとにかくリアル。その後の5人の姿が見られて本当に良かったです。
いまから読むなら「君に届け」➡︎「CRAZY FOR YOU」➡︎「運命の人」の順をおすすめします。赤星とくるみちゃん、それぞれの過去を知ってから読むと「運命の人」はより面白いです。
ただ「CRAZY FOR YOU」は読む人の心理状態によって多少もやもやする作品であることは事実なので…気になった方はぜひ恋愛気分の時に読んでみてください。
あとがき
「CRAZY FOR YOU」も「運命の人」も「君に届け」とはまた違った恋愛がすごく丁寧に描かれてて、何度も泣きそうになりました。
けど椎名先生のくるみの相手役がコロコロ変わったっていう裏話はいらなかったかな(笑) 今なら赤星一択です!!
椎名先生の作品はそこまで多くないので、ぜひ読んでみてくださいね。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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