1990年代の少女漫画誌・りぼんで活躍した小花美穂先生。
当時から小学生向けではないと思っていましたが、それもそのはず。
とにかく重い、暗い、せつない。
子供の頃はただただストーリーを追っていましたが、 大人になってから読むと、暗い過去や、心の葛藤、心情がよりわかって、涙がでてきます。
少女漫画に真剣に向き合って描かれた深みのあるストーリーは、 大人になってからこそ読んでほしい作品なんです。
目次
こどものおもちゃ(1994年-1998年)
こどものおもちゃ 1 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)
芸能界で活躍する元気いっぱいのとにかく明るい女の子、倉田紗南。 けれど学校はいじめっこのボス猿・羽山秋人のせいで、学級崩壊寸前ー
いじめや家庭不和、親の離婚などのシリアスなシーンが多いですが、小花先生独自のカラッとした笑いが随所に盛り込まれていて、笑いながら、泣きながら、最後まで引き込まれる作品です。
アニメ化もされた、小花美穂先生の代表作。単行本は全10巻。(完全版、全7巻)
Honey Bitter (2004年-2019年)
Honey Bitter 1 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)
相手の心が読めるー不思議な力を持つ珠里(シュリ)は、過去の経験から身をひそめるように生きてきた。 男嫌いで、後ろ向きな珠里だったが、その力を生かして叔母の調査室で働くようになり、様々な事件に関わっていくー
ストーリーは事件がメインですが、ポジティブで明るい陽太、過去のトラウマの吏己と2人の男性と恋愛模様が本当にドキドキします。全14巻完結。
『Honey Bitter』と『こどものおもちゃ』はマンガMeeで無料で読めます。
せつないね (1993年)
中学生の千絵は、彼女の父が経営するパチンコ店に住み込みで働いている恭司のことが大好き。 でも恭司には、東京から一緒に駆け落ちした彼女がいて―
好きな人に好きになってもらってハッピーエンド!なんてとんでもない。
小説のような、切ない初恋を描いた作品です。 小花先生初期作品のイラストは本当に繊細で、それがより切なさを感じさせます。
パートナー (2000年)
パートナー 1 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)[Kindle版]
はじめてりぼんで読んだ時、衝撃を受けました。
双子の苗と萌、賢と武は4人で仲良し。ある日、双子の片割れ・萌が事故で死んでしまうことから、残された3人の世界が一変していきます。
作り込まれた設定と、人の生死を扱った異色の少女漫画。 当時、読んでいる時は本当に怖く、ハラハラしていましたが、今読むとその辺のサスペンス映画より面白い!
小花先生の「Honey Bitter」の雰囲気が好きな人なら、ハマると思います。
水の館 (1999年)
容姿、才能ともに優れた鈴原浩人は、同級生からいじめを受け、さらに両親を事故死で失ってしまう。 唯一の肉親であり、行方不明の兄を探す浩人は、不思議な館に足を踏み入れるー
「こどものおもちゃ」に登場する紗南と直純が、漫画の中で出演してる映画作品。
ぞっとするような美しいホラーミステリー。
アンダンテ (2001年-2002年)
アンダンテ 1 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)
茗は、義兄弟で天才音楽家の兄・那都と二人暮らし。メチャクチャな両親に振り回される日々の中で、ある日父親の恩人の娘だという美少女・メルと同居することに…。
作品名は「アンダンテ(歩くような速さで)」ですが、作中で主人公も言っているように「アレグロ」な怒涛の展開に引き込まれます。
噛み合わなくなっていく人間関係が、ただ1つ、音楽で繋がっているというシーンが本当に切ない。 終わり方に賛否両論はありますが、今でもキャラたちのその後を想像してしまうくらい、読者に考える余地を残してくれた作品です。
この手をはなさない (1994年)
この手をはなさない 前編 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)
初恋の女の子・由香子と偶然再会した高校生・恒は、今度こそ自分の手で由香子を救おうと決心する。
荒んで生活ですっかり変わり果てた由香子だったが、恒の一途な想いに触れるうちに少しずつ元の明るい性格を取り戻していきます。 けれど2人が幸せになるにはそう簡単ではなくて…。
小花先生の真骨頂はこの作品かなと、勝手に思っています。読むたびに泣ける名作。全2巻完結。
番外編:Deep Clear
「こどものおもちゃ」×「Honey Bitter」の夢のコラボ!
紗南と羽山のその後が読める、貴重な一冊です! 「Honey Bitter」の珠里が働く調査事務所に、女優の倉田紗南がやってきた。はたして、彼女の依頼とは…。
あとがき
小花先生の作品は総じて「少女漫画らしくない」という印象がありますよね。(良い意味で)
あのころの少女漫画誌で、読者を子ども扱いせず、楽しい幸せなだけじゃない人生を、独自の笑いを交えて書かれていたことは本当にすごいことではないでしょうか。
シリアスなだけじゃない、子どもが読んでも大人が読んでも、また違った視点で読める作品ばかり。大人になって読むと号泣必至です。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!