あらいぐま書店

Livraria de Rakumarō

うつ病は死に至らしめる病である #生きていく理由 byマット・ヘイグ

真面目に働いている人ほど、実は心に爆弾を抱えているかもしれません。

今回は、イギリスで32万部突破のベストセラーとなった、24歳で「うつ」と「不安神経症」をダブルで患った青年の、生きるか死ぬかの日々を赤裸々に綴った自伝的エッセイをご紹介します。

希望をなくすことはうつ病の特徴的な症状のひとつだ

うつは僕にとって、人生で直面したもっとも過酷な現実だった。でもそれは目に見えない。

目に見えないから、周囲の人々からなんでもないことのように思われがちだ。頭から火を噴いて歩きまわっているのに、その炎はだれにも見えない。

読んでいて、何よりも衝撃だったのが「うつ」の人が感じている本当の恐怖。

いまにも死にそうなのに誰にも気づいてもらえない。死にたいのに死ぬのが怖い、けれど死ぬ以上に生きることが怖い、という強烈な恐怖が痛々しいワードの数々で綴られています。

うつ病がそこまで深刻な病であるということは,世間にあまり知られていない

  • 「へえ、結核にかかった?でも、よかったよ。結核では死なないからね」
  • 「きみ、どうして胃がんになったと思う?」
  • 「なんとアルツハイマーだって?いろいろ教えてくれよ。前から知りたいと思ってたんだ」
  • 「うん、確かにきみの脚には火がついてるよ。でもそれをまくしたてて、どうにかなるものかな?」

たとえばその人が本当に深刻な病であったなら、決して上記のような言葉は言えないですよね。しかし、「うつ」の人には気軽にこんな言葉をかけているのが現実です。

英米においても自殺は主要な死因のひとつ。100人中1人はみずから命を絶っているそうです。しかし、日本も自殺率でいえばTOP10に入るワースト国。

自殺を図る多くの人にうつ症状が見られることを考えれば、うつ病は人を死に至らしめる恐ろしい病といって過言ではありません。 それにも関わらず、うつ病患者をガン患者のように扱うことはしない。「うつ」に対する世間の認識に、ハッとさせられました。

️男性よりも女性の自殺率が高い地域は中国と香港しかない。

男であれ女であれ、ガンや心臓病になる。あるいは交通事故に遭うのと同じように、うつ病になる可能性はある 

うつはあなた”に”起こることであって、あなた自身とはちがう。誰もが経験しうる病なのだ。

本書では、女性の方がうつ病の罹患率が高いにもかかわらず、男性の自殺率が女性の3〜6倍にもなると紹介されています。

それは、男性は精神疾患を「自身の弱さ」として助けを求められない傾向があるからだそう。『男の子は泣かないのよ』という小さい頃からの刷り込みがありますが、いかに「男らしさ」という呪縛がその人を追い込んでしまうかがわかります。 

うつ病を患う人は孤独感に苛まれている

気が変になることは、気が変になるような世の中に対する理にかなった反応だとも言える。

幸福は経済にとって煩わしいものであるらしい。今持っているもので幸福なら、人はどうしてさらに多くのものを求める必要があるのだろう?

現代社会には、 不安を煽って商品を買わせるのはマーケティング手段が横行しています。年を取ることの不安を煽ってサプリメントや化粧品を買わせたり、保険に入るのも将来の不安からくる行動ですよね。私たちは常に不安をもつような社会に苛まれているのです。

ありのままの自分を受け入れて、満足した人生は、資本主義の社会とは相性が良くないということに、まだ多くの人が気づいていません。

穏やかに生きることが、革命にも等しい行為になろうとしている。 アップグレードされない自分に満足して、幸福に生きること。

本著では、自分らしくいきられず苦しんでいる人、心にもやを抱えている人に大切なメッセージを教えてくれます。

あとがき

イギリスのSNSで #生きていく理由 として投稿された言葉の数々には、たくさんの人々の苦悩や不安がたくさんありました。日本でも少しずつ広まっています。

辛い時、死にたいと思った時、生きていく理由を考える時、ぜひこの本を手に取ってみてください。

心に抱えるもやもや、人生に対する疑問(たとえば勤勉に働くこと、加齢を気にすること、結婚を悩むこと)に対して、心と向き合う方法を教えてくれる一冊です。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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