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Livraria de Rakumarō

阿仁谷ユイジ先生の「テンペスト」9巻のラストを考察してみた【ネタバレあり】

(出典:テンペスト)

『テンペスト』は、男性が絶滅した2000年後の世界で、

唯一の男性として性を受けた姫(ヒメ)と、眉目秀麗な皇(コウ)を中心に、

人類滅亡に立ち向かう人間の性と恋を描いた近未来SFファンタジーです。

 

全9巻で完結しています。

8巻あたりから駆け足になってきたなぁとは思ったのですが、とくに最終9巻は中身が濃く一読では理解できませんでした。

最後の方が理解できなくてモヤっとしている人も多いのではないでしょうか。

というわけで、今回は7〜8巻の辺りから最終回までのストーリーの裏側を簡単に考察してみました。

最終回までのネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください

※この記事は筆者の推測を多分に含みます。あらかじめご了承ください。

姫の出世と月小路家について 

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(出典:テンペスト)

姫の出生は偶然の産物ではありませんでした。

元々サキュバス現象とは、増えすぎた人口と環境汚染に対応するため、上層部が密かに行った人類衰退計画のこと。

男性のY染色体に影響を及ぼして、人類を少しずつ減らしていく計画でした。

ところが、ある日サキュバスが暴発。

Y染色体をもつ男性は、研究者の筆頭であった月小路(元祖)を残して死に絶えてしまいます。

両性具有の体を持っていた月小路氏は、自身の体を使って子孫を残し、(←この辺り曖昧です)

その後も月小路家はその血を絶やさないために、血族だけで子孫をつなぎ続けてきました。 

つまり月小路家は初めからXXY染色体というY染色体唯一の保持者であり、姫の片母・旋(メグル)はそのY染色体を保持していたということです。

女性消滅(フィメールロスト)に対処する方法について

そして2000年後。

サキュバス現象は、ついに女性消滅まで影響を及ぼしていきます。

最初は18歳以上の女性に対して、次第に子どもに対してもその脅威を拡大させていき、人類は滅亡の危機に陥ります。

この危機を乗り越えるためには、サキュバスの影響を受けない人類を生み出すほかありません。

この実験はすでに姫の母・旋(メグル)と安斎によって、20年前に成功していました。

感情をなくした月小路家の行いに反発するように、当主の妹であった旋(メグル)は姪っ子達の家庭教師であった安斎と結ばれます。

サキュバスの影響を受けず、月小路家の遺伝子に対して猛毒となる遺伝子、それが姫だったのです。

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(出典:テンペスト)

看守(ユリエ)について

月小路家当主の娘であったユリエ(姉)とキリエ(妹)。

母親に従順なキリエに対して、ユリエは自分を種子としか見ない母親になんとか自身を見て欲しいという気持ちから反発を繰り返します。(自覚があったかは不明)

ある日、大好きだった叔母(メグル)と安斎の受精卵を自分に産み付けますが、それは月小路の遺伝子にとって猛毒でした。

一命を取り止めたもののの、髪は白くなり、幼い姿のままになってしまったユリエは、

その後サキュバスによって孤児となった子供たちの楽園で、永遠のオトナ(看守)として君臨することになります。

女性消滅(フィメールロスト)に対処する方法についてその2

サキュバスの影響を受けない姫のXY遺伝子、つまり姫の子どもを産むことができれば人類は消滅の危機を脱することができます。

しかし、2000年間XX染色体だけで繁栄してきた女性社会は、進化と分化を繰り返して種分化を起こしていました。

姫の種子(XY染色体)と、今の女性陣(XX染色体)を番うのは、違う種族同士を番わせるのと同じこと。

(作中では人間とチンパンジーを掛け合わせるようなものと言われていました)

 

その「触媒」となりうるのが、免疫の交換=キス諸々だったのです。(諸々って…笑)

長い間姫を拒絶してきた皇は、自分が自身の研究(妊娠期間を短縮するナノマシンの開発)の実験対象となったことで、姫を拒絶してきた利己的で薄情な本性に気づき、それでも自分に想いを寄せ続けてくれた姫への変わらぬ愛情に気づきます。

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(出典:テンペスト)

繁栄のための機械的な受精では、キスはしませんし、免疫の交換も起こりえません。

触媒とは=愛であり、愛し合う性交によって子どもができる(=人類救済)という結末でした。

姫と皇のラストについて

皇は、男の子と女の子の双子を産みます。

しかしXY染色体を持っているのは事実上、この双子の片割れと姫のみ。

姫のXY染色体で子供を産むことができるのが、皇のみという状態です。

皇は人類をさらに増やすための子宮となって(脳死した状態で子どもだけ産むこと)、ユリエの元で人類を増やし続ける生贄(クイーン)となりました。

皇が人類複製のために生贄になる道を選んだのは、姫をずっと許せなかった自分を懺悔したから、母親となって双子の未来を守りたかったから等の理由が考えられますが、

それ以上に、触媒(=姫を愛する気持ちを誰にも渡したくなかったからではないかなと。

あなたの泣いているみたいな優しい笑顔が大好きだったの

だから困らせたかったの 優しくされたかったの

(出典:テンペスト 8巻)

作中では姫の切ない表情がたくさん描かれていますが、皇の気持ちは姫の回想を通してずっと描かれていたんですね。

皇は漫画史でもトップに入るツンデレだと思います(え)。

二人のラストだけ見れば、皇は人類複製の道具として一生を終え、姫は皇を想ったまま姿を消してしまったという、とんでもない悲恋でした。

 

しかし、最終回に少し救いがありました。

3000年を経た地球は、順調に人類が増えており、男も女も性差関係なく番える社会ができています。

男性消滅(メールロスト)からの女性消滅(フィメールロスト)の危機を乗り越えて、 人類は性差関係なく、番える種へと変化したのです。

人と人が番うために唯一必要なものは触媒(キラル)という名の愛。

姫と皇は、ある意味アダムとイブとして人類の祖となりました。

子孫たちがクイーンを讃える演劇の中で、姫と皇が乗り移ったかのような(生まれ変わり?)「君がいないなら世界がどうなったって構わない」という姫の本音を吐露します。

果たして3000年後の未来は現実だったのか、夢だったのか。

クイーンとなった皇が、姫への愛と再会を願って物語は幕を閉じました。 

最後に

うーん、読み方によってはやはり最後まで悲恋かもしれません。

二人の心は結ばれましたが、現実は引き裂かれたまま輪廻へ、という感じですね。

ユリエの上にいた上層部は誰だったのかとか、姫と皇以外の遺伝子の女性たちがその後どうなったのかなど、謎が残るラストでした。

姫と皇、二人が幸せになれたシーンが8〜9巻のあの一瞬だけかと思うと切なすぎます。

1巻から読み返すと、一途に皇を想い続ける姫が、体の成長と共に男になっていく過程は色気が爆発していましたね。

さらに、拒絶すればするほど強烈に意識してしまう皇の心情も、実はそこかしこに描かれていたことに気づきました。

最後の方よくわからなかった、という方にはぜひまとめ読み&二巡目をおすすめします。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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