【完結】剣の王国の最終回は?「はめつのおうこく」との繋がりをネタバレ解説

はじめに

「剣の王国」は2014年1月、Webtoonを専門に扱ったアプリ『comico』で連載が開始されました。

当時無料で読めたWebマンガの中で、圧倒的なクオリティと重厚なストーリーで多くのファン読者を獲得。

しかし未完のまま、2019年2月に全176話で連載終了しました。紙書籍はでていません。

「剣の王国」はなぜ打ち切りになったのか?

当時、Webマンガ専門という新しい業態が注目されていたcomicoという媒体。しかし、フルカラーや高い更新頻度による激務によって体調を崩してしまう作家さんが数多くいました。

それをサポートする編集側の人数や配慮も足りていなかったようで運営への不信感はどんどん強まり、当時のcomicoは定期的に炎上していたほどです。

「剣の王国」はファンから作者の体調を心配する声が上がる中、2018年に長期休載に入り、2019年1月に連載終了のお知らせが発表されました。

その間 yoruhashi先生のTwitterで"無言で"剣の王国の今後の展開が示唆されるなど、運営との対立が明らかに。

連載終了時に掲載された文言からもその様が推察されます。

いつも「剣の王国(つるぎのおうこく)」をご愛読頂き、誠にありがとうございます。作品の長期休載をお伝えしてから、読者の皆様へのご報告が遅くなり申し訳ございません。作家 yoruhashi さんと調整を続けて参りましたが、これまでご愛読頂き、誠にありがとうございました。comico編集部

休載が続き、ご心配をおかけして申し訳ございません。comicoにて掲載中の「剣の王国」は都合により、現在掲載されている話数で連載終了とさせて頂きます。今後、comicoにて連載を再開させる意思はありません。続きを楽しみにして下さっていた皆様の気持ちを思うと本当に心苦しいですが、何卒ご容赦のほど宜しくお願い申し上げます。

ネット上の憶測にはなりますが「comicoに剣の王国の権利を渡してもらえないから別のところで連載はできない」「だから剣は一旦終了して別作品を」となったのではないかと推測されます。実際に他の出版社から声もかかっていたようです。

comicoは面白いWebマンガと漫画家をたくさん世に送り出したパイオニア的サービスでしたが、残念なことにその裏で打ち切りになった名作は数多くありました。

 

 現在「剣の王国」はどこで読める?

連載終了から2年が経つと2020年3月には権利が移り「剣の王国」はMAGCOMIのリニューアルに合わせてリバイバル掲載が開始されることになりました。現在「はめつのおうこく」も同じ媒体で連載されています。

今の剣の王国はアプリ「ピッコマ」や「マンガドア」、WEBマンガサイト「MAGCOMI」で読むことができます。

形式は以前と同じフルカラーの縦読みのままです。また参考までに記載しておくと、剣の王国をぜんぶ読むのにかかる時間はおよそ5〜6時間が目安です。

※追記:2023年3月マンガドアはサービス終了しました

「剣の王国」と「はめつのおうこく」の関係は?

「はめつのおうこく」は2019年5月から『月刊コミックガーデン』およびWebコミックサイト『MAGCOMI』にて連載開始されました。

当初から「剣の王国に設定が似ている」「続編か」との声は上がっていました。その方向性が明らかになったのは2020年のこと、作者さんのTwitterで「剣の王国ははめつのおうこくに合流します」と明言されたからです。

これによって201話まで無料掲載されていた「剣の王国」の9章(176話〜201話)が消され、2021年11月にTwitter投票で決定された"トゥルーエンド"とされる最終話が176話として公開されました。

176話は最終回までのダイジェストのような内容で、そこに至るまでの冒険やストーリーはまるまるカットされた形になります。「剣の王国」の最終話をみるとわかる通り、「はめつのおうこく」は「剣の王国」の多重層宇宙(アンサンブルバース)として展開されることになりました。

 

ここからは「剣の王国」の簡単なあらすじと、最後どうなったのかをご紹介します。

ネタバレを含みますのでご注意ください。

最終回の内容だけ知りたいという方はこちらからどうぞ。

 

 

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「剣の王国」 これまでのあらすじ

むかしむかし、つるぎの王国と呼ばれたところに三人の魔女がいました。一番目の魔女はその美貌から王様に見初められ、お后様になりました。二番目の魔女はその聡明さを人の為に活かし、三番目の魔女は美も智も二人の魔女には及びませんでしたが、優秀な弟子をとりました。

 

序篇
反逆の魔女・ジルコニアは王国の追っ手・ジョーカーに殺される。師を失った少年・アルフレドは女王への復讐を決意する。

1.アトラントの章(1-20篇)

竜の夫婦に奴隷にされていたアルフレドは、父親を助けるために密航していた少女・ドロテーアと出会う。二人は消されていた姫エコーを助け、海に沈んでいたアトラントを復活させた。海流のスペルを得たアルフレドとドロテーア(+パンチネロ)は壮大な旅にでる。

2.ドロテーアの過去の章(21-27篇)

辺境の地・アーカンザスの田舎で暮らしていたドロテーアだったが、銀細工師の部族長として父グランピウスが捕まる。処刑される父の減刑を請うため、少女は銀の靴を手に父を助けるため王都・エメラルドを目指す。

3.死の海流の章(28-39篇)

島を脱出して首都エメラルドを目指す二人(+一匹)の前に、王国軍ゴードンの軍艦が出没。巨大なトロールも圧倒するアルフレドだったが、仇讐の白兎のジョーカーと対敵。ふたたびジョーカーに敗れたアルフレドたちは、船を壊されてそのまま海に放り出された。

4.ジルコニアの章(40-51篇)

かつて聖剣カリバーンを抜き、王座を手にした一番目の魔女。女王に反旗を翻したジルコニアと円卓の五部族長たち。追っ手から逃れる中で、ジルコニアは赤ん坊のアルフレドを引き取り、弟子にする。

ジルコニアとアルフレド、そしてトトの幸せな日々は長くは続かなかった。トトはその身を盾にジルコニアたちを逃し、ジルコニアは自身のスペルと引き換えにアルフレドを竜の夫婦のもとへ逃がす。アルフレドにただ"愛してる"という言葉を残して。

5.怪物鯨の章(52-85篇)

瀕死のアルフレドとドロテーアたちは暗闇の中で目覚めた。怪物鯨に飲み込まれたドロテーアたちは、廃船だらけの迷宮で漁師のサザーランドに出会う。

自身の"闇"を具現化した怪物と戦うことになるアルフレドたち。アルフレドとドロテーアは一時は諍い訣別するが、怪物との共闘でお互いへの理解を少し深める。四人は協力して船を操舵して鯨の口から脱出。海上にでた時、すでに死んでいたサザーランドは天へと消えていった。

6.ビーコートの章(64-66篇)

それはとある泥偶人形の記憶。機械仕掛けの作られた存在は、ひとりの少女と出会う。魔女が聖剣を抜いて女王となったとき、彼の心は戸惑いながらも命令を遂行するしかなかった。女王の圧制下、彼はかつて愛した人間を手にかける。

7.コローディの章【86-145篇/60話】

娯楽都市・コローディに辿り着いたアルフレドたち。グランピウスの処刑が延期されていることを知り、遠回りの陸路でエメラルドを目指すことに。情報収拾するアルフレドたちの前に金細工師の部族長の息子であり、反政府組織金冠(ゴールデン・コロナ)のリーダーでもあるオズが現れ、ドロテーアを誘拐。再び合流したアルフレドたちはサーカスを利用して街をでることを画策する。

命を見世物にする残虐な娯楽にドロテーアは激怒。サーカスを壊滅させ、団長のチャールズボンバイエを人質に取ったアルフレドたちは、襲い来る喰獣族(ノール)の大群を倒し、夜汽車ので街・トレンデルに向かう。

8.流星列車の章(146-175篇)

オーグに向かう列車の中で、アルフレドたちはかつてグランピウスを連行した王国軍の役人・ドードーと泥偶人形ビーコートと遭遇する。ビーコートに敗れたアルフレドは走る列車の中から線路へ落とされてしまった。

南十字駅で王国軍に捕まったドロテーアは、銀細工師の娘に利用価値をみる反乱軍に救われて、ひとり線路を引き返し、アルフレドを探す。

その頃、邪知暴虐な女王を前にグランピウスはその最大の真実を明らかにする。聖剣カリバーンを抜いたのは一番目の魔女ではない。その腹の中にいた赤ん坊、ドロテーアだったのだ。愛のスペルで意のままに操る女王、そして娘であるドロテーアもそのスペルを受け継いでいた。

共に旅してきた少女が仇讐の娘であったことに気づいたアルフレド。それでもアルフレドは自分を探して泣きわめくドロテーアを強く抱きしめる。女王を殺せるのは女だけ。

二人が再び出会い、物語は大きく動きだすー

以下、描かれなかった物語

9.挽歌の章(176話-未完)
10.アルフレドと魔女の章
11.ドロッセルの章
12.犠牲、そして2人だけの章
13.終章
14.(もうひとつの)終章

 

上記の9〜14章は、長期休載していたときに作者のTwitterに掲載された「剣の王国」の本当の構成です。

本当は序章を含めて全15章で描かれる予定だったんですね。最終回は8章の終わりから1年後の時間軸です。

 

 

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「剣の王国」 最終回 186話 旅のおわり

 

「やっとここまで来れたね」

ドロテーアはそう言いながら、アルフレドと小舟に乗って剣の王国の中心・王都エメラルドへと向かっていた。

ルビーに付け替えられた絢爛豪華な建物は崩れ、崩壊した王都は水の中に沈んでいる。

「これも全部あの人のせい…なんだよね。私の本当のお母さん」

空に浮かぶ女王ドロッセルの肖像画を見ながら、ドロテーアがつぶやく。

ドロテーアの顔に怯えや怒りを向ける人々から、ドロテーアを守るように寄り添うアルフレド。ドロテーアはこの世界を元にもどしてみせると声をあげる。

アルフレドは野暮だけど…と言いながらこれまでの旅を振り返り、ドロテーアにその優しさに何度も救われてきたことを告げた。

(出典:剣の王国)

 

ついに女王ドロッセルと対峙した二人。

女王は恍惚とした表情でアルフレドをみつめて言う。これまでの人生も、望まない子どもを産んだのもすべて愛する人を取り戻すためだったのだと。

愛のスペル「武装(ルイン)」を纏った女王に、同じく愛のスペル「束縛(マンドラゴラ)」で対抗するドロテーア。

しかしドロテーアは敗れ、女王ドロッセルはアルフレドの首を手に入れて去っていく。

アルフレドはこれでドロテーアが自分の復讐から解放されて、四番目の魔女として世界に優しさをもたらしてくれると信じていた。

(出典:剣の王国)

 

首だけになっても優しく涙を流すアルフレド。それを嘘つきと泣哭するドロテーア。

アルフレドの首「受肉首(インカーネーション)」を手に入れたドロッセルは城の奥に座る首なしの騎士のもとへと向かう。

その体に受肉首をそっと合わせると、アルフレドの赤い髪は真っ白へと代わり、何も知らない最愛の騎士が蘇った。

ドロッセルをお姫様と呼ぶ騎士は、その体を抱きしめ、優しく抱え上げる。

ドロッセルは「ちょっとした冒険をしてきた」と騎士に嬉しそうに話しかけ、そんなドロッセルに騎士は優しく微笑みかけるのだったー

(出典:剣の王国)

 



 

「諦めるものですか」

アルフレドを失ったドロテーアは、その首なしの亡骸を抱きしめながら誓う。

偽善なんていらない。何があっても彼を蘇らせるのだ、と。

たとえ別の世界のあなた(アルフレド)を殺してもーー

 

 

END

 

 

「剣の王国」の最後はどうなった?

「剣の王国」の最終回では、アルフレドとドロテーアは敗れ、女王ドロッセルが受肉首を手に入れて最愛の人を蘇らせます。女王にとってのハッピーエンド、ドロテーアの闇落ちENDです。

これは初期からの構想であるトゥルーエンドとされるもので、連載中はこれに対抗するハッピーエンドの構想があったそう。「剣の王国」が「はめつのおうこく」に"合流する"と明言されて、多重層宇宙(アンサンブルバース)の別次元のお話として「はめつのおうこく」に引き継がれることになりました。

闇落ちしたドロテーアは別の世界で、今度はアルフレドを蘇らせるために女王ドロッセルと同じ道を辿るのでしょう。

実際に「はめつのおうこく」では3巻のラストで描かれている通り、ドロテーアがかつての優しさを捨てたラスボスとして登場します。

もはや悲劇の連鎖しかみえないですが、はめつが今後どうなるか注目です。

「はめつのおうこく」は漫画アプリ「ピッコマ」「LINEマンガ」で無料で読めるほか、単行本もでています。

あとがき

2023年「はめつのおうこく」のアニメ化が決定したことは衝撃以外の何者でもありませんでした。

絶望型復讐譚とキャッチコピーがつくように、どうあっても幸せな結末がみえないと思ったからです。

正直にいうと、筆者は初期の「剣の王国」が好きで「はめつのおうこく」のグロ描写や陵辱描写は苦手です。

今後も"永遠に救いのない"「剣の王国」の最終回はずっと忘れられないのだと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。