新書というと、「演劇論」とか「哲学」とか、なんだか難しい本のイメージがありますよね。
筆者は、内容が堅苦しいものというイメージだけあったのですが、文庫と比較すると歴史的な背景が違うことがわかりました。
今回は、そんな新書と文庫の違いを、できるだけわかりやすくご紹介します。
はじめに
まず新書という言葉には2つの意味があります。
①新しい本、新刊の書物
②新書版、またはそれに類似した叢書(ソウショ)※余りかたくるしくない書き方をした教養ものや小説などを収めた叢書(そうしょ)と言います。
今回は、②の、本の種類としての新書について詳しく解説します。
①と②は言葉の字体が同じだけですので、混同しないようにしましょう!
文庫と新書の違い ①サイズ
並べてみるとこんな感じです。
新書は、新書版と言われる「173×106ミリ」のサイズで作られています。
JIS(日本工業規格)にはないので出版社によって異なりますが、「173×106ミリ」が標準で、もしくは「182× 103ミリ」が多いそうです。
文庫は「148×105ミリ」のA6サイズで横幅は同じくらい、少し縦が短いのが特徴です。
文庫と新書の違い ②内容
新書は、専門分野の解説書や入門者が多く、主にノンフィクションを扱っています。
文庫は、昔は古典が中心でしたが、その後名作と言われる物語に発展し、最近ではライトノベルや、ハードカバーで出版された小説などが文庫版として多く出版されています。
小説なども多く扱っているのが文庫の特徴ですね。
最近では新書サイズの小説なども出版されてきているので、内容の大きな括りはありますが、垣根は段々なくなってきているようです。
こんな風に漫画とコラボした新書もでていますね。
内容はがっつり宇宙の知識やテクノロジーですが(笑)小説のようにさらさら読めるおすすめの一冊です。
新書の歴史
日本では、1938年に発行された岩波新書が元祖と言われています。
1935年7月にイギリスで,それまでのハードカバー (堅表紙) に対して「ペンギン叢書」という文学中心の安いペーパーバックス (紙表紙本) が発売されて大成功を収めました。
それを受けて、1937年に同じくイギリスで「教養書」や「科学書」としてのペリカン叢書が発売されます。
日本では岩波書店がそれをお手本にして,1938年11月に「岩波新書」を 20点同時に発売しました。 当時の定価にして1冊 50銭 ほどだったそうです。
当時発売された新書が、”現代的教養”を追求する,いわゆる教養書としての内容が多く,その手頃な値段で、学生や知識人を中心に人気となりました。
この「岩波新書」の成功がきっかけで,新書という言葉が日常的に使われるようになったそうです。
だから新書にはノンフィクションの教養系のジャンルが多いんですね!
結論
今では文庫より少し大きめのサイズで、軽い教養ものや小説などをおさめた堅苦しくない読みものが”新書”とされています。
簡単に行ってしまうと、文庫本よりも大きい小型本=新書です。(サイズも細かい規定はなし)
堅苦しくないというのは、昔の本でいう何百ページという専門書と比較して、という意味だと思います。
教養書から発展した新書は、ライトノベルや小説に慣れている現代人からしたら十分堅苦しいかもしれませんね(笑)