12年半続いてきた『俺様ティーチャー』がついに全29巻で完結しました。
2011年に少年誌で『月刊少女野崎くん』の連載がはじまったときは「さすが椿先生、めっちゃ面白い!」と歓喜する一方で、ただでさえちょくちょく休載がはいる花とゆめで「え、俺様ティーチャー完結する?」と不安になりました(余計なお世話)
今回はこれまでのあらすじと、最後どうなったかをざっくりご紹介します。
「途中まで読んでいたけど内容忘れてしまった」「最終巻前におさらいしたい」という人は途中まで読んでみてください。
それではどうぞ。
目次
これまでの「俺様ティーチャー」のあらすじ
1〜6巻 風紀部編
東高番長の黒崎真冬は、ある日ケンカの最中に子分達から置いてきぼりを食らって高校を退学に。
緑ヶ丘学園に転入することになり、過去を隠して「普通の女の子」になることを決意する。
しかしそこには、幼いころの隣人で真冬を極悪非道に調教した本人・佐伯鷹臣が担任として勤務していた。
鷹臣は「不良を撲滅し、学園の治安をよくする」という理由を押しつけ、真冬と早坂を「風紀部」に勧誘。
緑ヶ丘の番長・桶川と戦って見事勝利する。
しかし風紀部は忍者の由井忍など、生徒会から謎の刺客を差しむけられるようになる。
・負けた由井忍が風紀部の新入部員となる
ちなみに5巻は最終回ででてくる茉莉花様登場。さらに唯一の恋愛(?)大久保&港のエピソードがあるおすすめ巻です!
6〜17巻 VS生徒会編 前編
忍によって暴かれた学園の違和感。真冬は鷹臣が交わした賭けの内容を知るために「鬼ごっこ」勝負を挑む。
祖父の学校を騙し取られた鷹臣は、緑ヶ丘学園の経営権を賭けて理事長と「3年間で入学希望者を倍に増やす」という勝負をしていた。
中止になっていた文化祭が復活した緑ヶ丘学園だったが、謎の「神隠し」事件が勃発。文化祭の当日に黄山高校の襲撃を予見した真冬たちは桶川と共闘し、なんとか文化祭を成功させる。
文化祭が終わったのも束の間。
由井忍の作戦が失敗におわった生徒会から、風紀部を潰すための刺客が次々と差し向けられる。
・部活動「監査」で風紀部を取り締まろうとする北条若菜(10巻)
・生徒会から解放されるために真冬に勝負を挑む潔癖症・綾部麗人(11〜12巻)
・真冬を罠にかけるが、黄山に邪魔をされてしまう男性恐怖症・野々口歌音(13〜14巻)
・真冬達が修学旅行へ旅立っている間に渋谷亜希を生徒会に取り込もうとしたお人形系女子・雪岡小鞠(15〜16巻)
襲いくる風紀部潰しのための刺客(?)を交わしていた真冬たち。
しかし部員達に届けられた脅迫状によって、桶川、渋谷、由井忍らが立て続けに退部届を提出する。
それは「山彦の術」を発動して生徒会に復帰した由井によるものだった。真冬と早坂は由井の隠れた本音を引き出し、由井は雅の「命令」から自身の意思で動いて再び風紀部へともどる。
18〜22巻 VS生徒会編 後編
夏休み明け。風紀部は百地瑠奈の謀略にはまる。早坂は徐々に記憶を失い、暴力沙汰で停学処分になってしまった。
百地は幼いころ虐待されたトラウマから自分より「かわいそう」な生徒を生み出し、暗示をかけては学校を退学に追い込んでいたのだ。
鷹臣の家庭訪問を口実に早坂邸にやってきた真冬たちは、そこで早坂のトラウマを解き、記憶を取り戻させる。
雅は瑠奈から生徒たちを守るために「風紀部潰しに手助けしたら華房の負け。その間生徒に手を出したら百地の負け」という賭けをしていたことが判明する。
年明け、生徒会役員を追い詰める謎の偽ウサちゃんマンが出没する。その正体は、怪我を装っていた生徒会長・華房雅だった。卒業を間近に控えた雅は心に闇を抱えた生徒会のメンバーそれぞれの自立を確かめるために、ウサちゃんマンに扮して試していたのだ。
皆がそれぞれ自分で立って歩いていけることを確認した雅は、真冬に「君は僕にとってヒーローだった」と言い残し、桶川たちと共に卒業していく。
23〜28巻 最終章
3年生になった真冬たちの前に、新1年生として華房雅の妹・華房藤子があらわれる。
予測不能な行動を見せる藤子は、鷹臣に圧力をかけて緑ヶ丘を退職させてしまった。突然いなくなった鷹臣に動揺する真冬たちだが、そこに新任教師の真木清一郎があらわれ、鷹臣に変わって風紀部の顧問となる。
おかしな真木の言動に振り回される風紀部員たち。最後の文化祭の準備を進めていた真冬は、真木にとらわれて華房藤子の屋敷に軟禁されてしまった。
真冬たちは真木が華房家の使用人であり、東高と敵対していた西高の元No.2であり、妹を病気でなくしていること、その時ケンカに巻き込まれたせいで駆けつけられなかったことを知る。
真木・藤子の思惑がはっきりとしないまま、緑ヶ丘の文化祭は過去にない盛り上がりをみせる。
真木が文化祭を壊す画策をしていると察知した鷹臣は卒業生の桶川や外部生の寒川・舞苑を使って、深夜にあらわれた黄山OBの不良たちを撃退することに成功するがー?
最終巻29巻の内容は?
文化祭、2日目。大盛況でおわった1日目の劇の会場・体育館には真木によって不良たちが集められた。
夏男に扮する真冬と早坂、駆けつけた由井はなんとか不良たちを撃退しようとするが、真木は鷹臣を呼び出すよう真冬たちを痛めつける。
真冬は鷹臣だとは知らずに謎の覆面男・犬塚に連絡をしてしまい、体育館に鷹臣があらわれる。
真木は鷹臣に、大切にしていた祖父の危篤を知らせる電話をとらせ、不良たちをけしかけて自分が絶望した過去を再現させる。
最後に会えなかったからといって、思い出が消えるわけではない。
そう語る鷹臣に、真木は真冬でも藤子でもない、自分が大切にしていたたった1人の妹・東子(とうこ)の顔を思い出す。
7年の憎しみに決着をつけるべく鷹臣と真木は殴り合い、真冬たちは不良たちと乱闘。
真木が引き起こしたケンカ騒動は、文化祭に影響を与えることなく終結した。
ところが閉会式、壇上たった文化祭実行委員長・藤子は記者たちの前で「学園がなくなること」を匂わせる。
その時、舞台袖から元生徒会長・華房雅が登場。
真冬は2日目にできなかった劇にみせかけて、藤子の発言をうやむやにすることに成功する。
藤子を追いかけて屋上にやってきた真冬は、学校を無理やり廃校しようとした藤子の目的が兄と母の「離婚の賭け」をつぶすためだったと知る。
家庭内別居の父と母によって、家の中でも別れて暮らしていた雅と藤子。
しかし雅は藤子をどうでもいいと思っていたわけではなく、藤子を心配して一緒にいるために賭けの3年間の間に学校を卒業しようとしていた。
「先送り体質」の雅の意図を見抜いた真冬、兄妹のすれ違いはようやく解消され、無事に文化祭が終わった。
迎えた卒業式。来年度の入学者数を倍に増やした鷹臣は、見事理事長から経営権を取り戻した。
真冬、早坂、綾部は同じ大学へ、由井や北条たちは雅を追って東京の大学へと、それぞれ進路を決める。
鷹臣は教師を辞め、理事長との賭けがなければ目指していた自分の会社を作った。
大学を卒業した真冬、早坂、そして寒川は鷹臣に誘われて就職。
元生徒会勢も番長三人組も大人になっても相変わらずつるんでいる。
茉莉花と三ツ林の結婚式(*詳細は後述)に招待された真冬と鷹臣たち。
VIP待遇で呼ばれた鷹臣はここでも「仕事をするぞ」と真冬たちを振り回す。
過去に鷹臣に置いてきぼりにされた真冬だったが、これからは新たな約束とともに一緒に過ごしていく。
END
最終回の感想
まさかの…LOVEがない…だと?!
いや予想はしてました。「俺様ティーチャー」はヤンキー青春コメディなんだと。早坂くんとも鷹臣ともそんな雰囲気はないし(筆者は寒川推し)、むしろ真冬は最後までヒロインではなくヒーローポジションだったと。
でも最後の最後に結婚式なんて描写が出てきたら期待してしまうじゃないですか!!!
絶対「え、茉莉花って誰だっけ?」「最後の結婚式の人だれ?」ってなった読者は多いはず。
ちなみに茉莉花は5巻で真冬たちが海にいったときに出会っています。
夏休み、海にきた真冬と鷹臣はカツアゲ集団を撃退、たまたま使用人を助けたことでお礼にとお屋敷に招かれます。そこにいたのがお嬢様の茉莉花と執事の三ツ林です。
三ツ林の本心がわからないと悩む茉莉花に、欲をださない祖父と三ツ林を重ねた鷹臣は、「ラブの劇場・昼ドラ作戦」を決行。茉莉花をさらって三ツ林に追ってこさせることで本心を引き出し、二人は両思いになったのです。
この時の耳打ち伏線がまさかの最終回で回収されるなんて…なんてこった。
こうして最終回まで振り返ると、椿いづみ先生は最初から最後までストーリーを考えていたんですね。
12年間もぶれずに一貫して青春ものを描ききっていて感動しました。ラブは見られませんでしたが(笑)
ここからは原作でわかりづらかった内容を簡単に考察します。
3つの賭けの内容
ちょっと複雑な賭けの内容を時系列に並べるとこんな感じです。
①理事長と鷹臣による、理事長が騙し取った学校の経営権と鷹臣がもつ土地の所有権とを賭けて「3年間で入学希望者を倍に増やす」という賭け
②雅と雅の母による「理事長が鷹臣に勝てたら離婚はしない」という賭け
③雅と瑠奈の「風紀部潰しに手助けしたら華房の負け。その間生徒に手を出したら百地の負け」という賭け
在学中、華房雅は生徒たちを瑠奈から守るために③の賭けを行いました。
こうしてみると雅様めっちゃ良い人です。ただ言葉にださないので本心がとにかく見えづらかったんでしょうね。(読者にも)
それが最終章で妹・藤子様が暴走したすれ違いの原因にもなりました。
真冬と鷹臣の過去とは?
ちょこちょこ回想にでてきた真冬と鷹臣の過去は、最終回直前の167話で明らかに。
真冬と鷹臣はいわゆる年の離れた幼馴染みのはずなのですが、真冬は高校に入って再会しても鷹臣に関する記憶の一部を失くしているんですよね。
文化祭の後夜祭で、真冬は鷹臣との鬼ごっこの末に、高校を卒業した鷹臣が「もうお前とは遊んでいられねぇから」とさようならを言ったこと、「捨てられるくらいなら忘れてやる」といって本当に記憶をなくしてしまったことを思い出します。
最初は鷹臣を初恋の人と勘違いしていたこともあった真冬でしたが、結局は「大好きなお兄ちゃん」に捨てられた悲しさと悔しさが記憶をなくした原因だっと判明したのでした。
あとがき
最後は尽くラブ要素を粉砕して終わってしまいました(笑)
まぁこれで鷹臣と真冬が結婚なんてしたら「え?いつそんな感じに?」となった気がします。
最初から最後まで友達、相棒、親友、隣人愛、師弟愛、兄弟愛などいろんな関係性がつまった青春コメディでした。
最後に数年後の舞苑さんがみれなかったことが心残りです。番外編にでないかな。
ずっと追いかけてきた読者としてはきちんと完結されて嬉しい反面、おわってしまったぁという脱力感もいっぱいです。
椿先生、本当にお疲れ様でした!
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
『俺様ティーチャー』はマンガParkで無料で読めます。