2007年から15年に渡って連載されてきた「ちはやふる」が、全50巻でついに完結しました。
ここでは単行本派の筆者が、巻ごとのあらすじや主要エピソードを時系列にまとめています。
最終章を読む前のおさらいや、「あれ、どこまで読んだっけ?」 「あの試合どこだっけ?」なんて時にご活用ください。
はじめに -覚えておくと便利な年表-
- 6月 全国高校選手権東京都予選(団体戦・個人戦)
- 7月 全国高等学校かるた選手権大会
- 夏 吉野会大会
- 秋 名人戦・クイーン戦 予選
- 冬 名人・クイーン戦
1〜2巻 小学校6年生編
自分が夢中になれるものと出会えていなかった少女・綾瀬 千早は、福井からやってきた綿谷 新と出会い、競技かるたの世界を知る。
幼馴染の真島 太一とともに白波会に入会し、3人は団体戦で「ちはやふる」というチームを結成。
勝負には負けてしまったが、千早たちは福井に帰ってしまう新に「かるたを続けていれば、また逢える」と再会を約束するのだった。
2巻〜8巻 高校1年編
千早は瑞沢高校で太一と再会し、競技かるた部を創部。
永世名人の祖父が倒れてからかるたの世界から離れていた新に会いにいき、日本一のかるた部を作って新を待つことを誓う。
呉服屋の娘で古典オタクのかなちゃん(大江 奏)、かるた経験者の肉まんくん(西田 優征)、学年二位の秀才・机くん(駒野 勉)が入部し、全日本高等学校かるた選手権大会東京予選に挑む瑞沢高校かるた部。
都予選決勝で北央学園を破って、瑞沢高校は創部2ヶ月で団体戦優勝を果たし、全国大会へ。(四巻)
いよいよ滋賀・近江神宮での初めての全国大会。
試合中に体調を崩して倒れ込んだ千早は、途中棄権を余儀なくされる。そんな千早の姿を見た新は、かるたへの自分の想いを再確認する。
瑞沢高校は千早抜きで決勝トーナメント進出まで奮闘するが、常勝・富士崎高校に敗れ、階級別個人戦へと頭を切り替える。
個人戦で千早は史上最年少クイーン・若宮 詩暢(しのぶ)と2回戦で対峙。その"音のしないかるた"に圧倒され、20枚差で敗れる。しかし、千早はもっと強く、自由にかるたを楽しむことを決意する。千早のクイーンへの夢が本物の夢になった瞬間だった。(五巻)
二学期、クイーンの影を追いかけて練習に打ち込む千早に、原田先生は「速く取るのをやめなさい」と助言する。一方、太一はA級昇格を目指してひとり吉野会大会に参加する。その頃、新が競技かるたの世界に戻ってきた。
東日本予選2回戦で、千早は前クイーン・山本由美と対峙し、自分の驕りを自覚する。この年のクイーン戦は若宮VS山本で、若宮が防衛。初めて名人・周防久志の戦いをみた千早は、一部の人間にとって28枚の"一字決まり"があることを知る。
9巻〜26巻 高校2年編
高校2年生になった千早達。
太一に恋する花野 菫と、下の句かるたの経験者・筑波 秋博が新入部員として入ってくる。そして7人で臨んだ高校選手権予選、駒野は1年の花野・筑波を入れ、自身は後方支援に努める。
決勝で強豪・北央学園と対戦する瑞沢。千早はこれまでの速さだけでなく、"正確さ"と"感じ"を最大限に磨いて武器を増やしていく。しかし、団体戦の経験の浅さから札分けに失敗した瑞沢は北央に敗北、準優勝で二度目の全国大会へ出場を果たす。
迎えた近江神宮での全国大会。駒野は筑波にスタメンを譲り、決勝トーナメントに向けて偵察に勤しんでいた。
決勝トーナメント準決勝、千早は明石女子との対戦で西のクイーン候補の逢坂 恵夢(めぐむ)と対戦する。
千早はペースを乱されて敗北するが、駒野がなんとか勝ち切り、瑞沢は団体戦準決勝を3-2で勝利する。(十三巻)
全国5連覇中の富士崎高校との団体戦決勝。
千早は自分と同じ"耳の良さ"を武器とする山城理音(りおん)と対決し、右手の人差し指に違和感を覚えながらも辛くも勝利。
そして、太一と西田は運命戦(自陣・敵陣ともに残りの札が1枚ずつになった状態)を札合わせで制して、瑞沢高校はついに団体戦 全国優勝を果たす。(十五巻)
病院で剥離骨折と診断された千早は、詩暢との個人戦3回戦に左利きで挑み、23枚差で敗れる。強い同年代がいないことに落ち込む詩暢に対して千早は「クイーン戦で」と再戦を誓うのだった。
一方、B級決勝で山城理音に勝利した太一は、ついにA級に昇級する。A級の決勝戦では新と詩暢が対戦し、個人戦は綿谷新の優勝で幕を閉じた。(十七巻)
夏休み、手術で入院を余儀なくされた千早は、新との電話で自分はどうあっても「かるたが好きで、新が好きなんだ」と自覚する。
右手を封印した千早と太一は富士崎高校の合宿に参加し、フィジカルトレーニングを経験する。
10月、右手を治した千早は吉野会大会に出場。圧倒的な強さで数々の強豪を抑え、千早と太一で決勝戦を迎える。
そんな中奇しくもクイーン戦予選に修学旅行が重なった千早は、悩んだ末、予選ではなく修学旅行を選ぶ。その裏に将来は高校の先生になりたいという夢があった。(二十巻)
名人への挑戦権をかけた激闘が続く中、千早の中に小学6年生から変わらない心を見て取った新は「好きや」と告白する。
その年の名人戦では千早たちの恩師・原田先生が挑戦者に。元クイーンの猪熊遥と共にそれぞれ挑むが、現名人・周防 久志と現クイーン・若宮 詩暢が防衛に成功する。
引退すると宣言していた周防に対して、新は宣戦布告の啖呵を切り、周防はあっさり引退を撤回するのだった。(二十五巻)
そして春がやってくる。
太一は部室で千早に告白するが、千早は「ごめん」と返してしまう。
その後、太一が退部届を出したことを知らされる部員たち。千早は太一を追いかけるも、かるたが真っ黒に見えると話す太一を止めることはできなかった。(二十六巻)
27巻〜42巻 高校3年編
千早達は3年生になり、原 実紅、橋立 蒼太、波田 橙吾、田丸 翠が入部してくる。
太一の通い始めた塾では講師として周防の姿が。太一の退部以降身が入らない千早は休部を宣言。(二十七巻)
千早は東京都予選大会から復帰。全国への切符を手に入れる。瑞沢高校は団体戦準決勝で富士崎に敗北、3位決定戦で新のいる藤岡東と戦い、千早は新に勝利する。(三十一巻)
そして、ついに名人戦・クイーン戦の予選が始まる。
東代表決定戦で、千早は後輩の田丸、太一は恩師の原田先生と対戦する。不戦敗で恩師に譲ろうとする太一だったが、初めて自身の本音をこぼし、本気で挑んで勝利。東日本代表は千早と太一、西日本代表は新と結川 桃に決定する。(三十七巻)
クイーンへの挑戦者決定戦で、千早は結川 桃を打ち破って勝利し、ついにクイーンへの挑戦権を得た。
一方の太一は新に敗れ、名人への挑戦権は新が手に入れる。「邪魔してわるかった」と呟く太一に対して、新は「かるたをしてくれてありがとう」と告げる。(四十巻)
今年から5番勝負となったクイーン戦を前に、千早は元クイーンの渡会、猪熊の二人に練習の協力を仰ぐ。
一方、詩暢はカルタで一生の仕事を作ろうとYouTubeを始め、激しい反発に晒されていた。
詩暢を一人にしないと誓う千早だが、詩暢とカルタに打ち込む新を見て、逆に挑戦者の自分が独りぼっちで立っていることを自覚してしまう。(四十一巻)
いよいよ最終章!名人・クイーン戦の行方は?!
前日の夜、姉・千歳のスーツケースと入れ替わるというアクシデントが発生する中、ついに名人位・クイーン位決定戦がはじまった。(四十三巻)
第一試合は7枚差で詩暢の勝利。しかし、千早はめげることなくクイーンの得意とする左下段を狙い、千歳が届けてくれた着物で喝を入れて、第二試合に挑む。一方の名人戦は4枚差をつけて危なげなく挑戦者の新が勝利する。
第二試合は周防の得意とする山城読手だったが、新は祖父を彷彿とさせるカルタで勝利。周防は突然現れた大切な人・兼子(ゆきこ)の存在に動揺を隠せない。一方の千早は、詩暢の世界観を共有しながら嫌な札送りで攻めるが、詩暢はこれを圧倒的な強さで撃破。千早は連続二敗し、ついに後がなくなった。
詩暢には勝てないのか、と塞ぐ千早に、新は「おれが会ったいちばん強い千早は瑞沢高校かるた部の主将だ」「自分のかるたをしろ」と千早を鼓舞する。
第三試合、読みは引退していた九頭竜読手。原田先生の喝も受けて自分の攻めがるたに集中した千早、そして名人への執着をみせた周防は、それぞれ天賦の”感じ”を武器に勝利をおさめる。(四十五巻)
二敗一勝の千早と二勝一敗の新、いよいよ第四試合へ。
しなやかさを取り戻して波に乗る千早とは対照的に、祖父と重ねられる重圧に押し潰されそうな新だったが、そこに一度は駅に向かった太一が現れる。
「千早の夢が叶うのを一番近くで見たい」という友の夢を踏みつぶしてここに居ることを思い出した新は、自分の強さのまま名人と戦うことを決意する。
山城読手の人生最後の読みを背に、周防はこれまでにない執着をみせて第四試合を勝ち取る。仲間との思い出を胸に伸びやかなカルタをとった千早も2枚差で詩暢に勝利。
試合中に足がつっていた詩暢を、千早は「最高の強さを引き出して勝つ」という言葉の通りサポートして乗り越える。一方の新は太一との時間を経て、祖父の呪縛を乗り越え、自分を取り戻すことに成功する。
ともに2勝2敗で、ついに第五試合が始まった。
今までひとりで強くあった詩暢はようやく千早の強さを信じ、初めてふたりで試合を展開していく。
一方の周防は見えなくなりつつある視界で気迫を見せ、新は「名人とかるたで話したい」と純粋な気持ちで試合に臨んでいた。
一進一退の攻防が続く中、両試合残るは2枚の同じ札。ここに来て、まさかの史上初の名人・クイーン共に運命線まで縺れ込む。
千早と新は同じ(太一の)札を自陣に残し、チームちはやふるの札合わせが完成する。
読まれたのは…「たち」。
ここに新名人と新クイーンが誕生した。
【最終話】
試合直後、インタビューに駆けつける面々を余所に、倒れ込んで寝てしまった千早。
新は「じいちゃんと地元が抱きしめてくれました」と涙ながらにインタビューに応じる。
太一は「来年、おれがここに倒しにくる」と新たに宣言。ようやく子どもの頃の三人がそれぞれの元へ帰ってきた。
駅に向かった千早は、そこで初めて姉・千歳に認めてもらうことができて涙をこぼす。
時は流れて卒業式ー
太一が東大を受けていないと知った千早は動揺。いろんな人に聞いて回るが、机くんの「ただの友達なら(言わないよ)」という言葉に走り出す。
自分の気持ちにようやく気づいた千早は、部室にいた太一に「好きだよ」と告白。「いまさら?」と驚く太一だったが嬉しさを隠せない、その想いがようやく実ったのだ。
二人は新に付き合ったことを報告し、京大に受かった太一と千早は遠恋に。新は少し寂しそうに微笑むと「俺は18で隣にいるより28で隣にいるのを目指すわ」と太一をからかう。
全日本選手権、男女混合の正真正銘日本一を決める大会が開かれ、そこにはこれまで戦ってきたたくさんの人々が集まっている。
みんな生まれたばかりの新名人と新クイーンを倒そうと熱意を燃やして。
広い畳の上で、たくさんの友とライバルが集い、千早たちはかるたをはじめるのだったー
あとがき・感想
ついに終わってしまった…!!
15年間、たくさんの感動をもらいました。最後まで綺麗にまとまっていて、濃密な3年間を一緒に体験させてもらったような気持ちです。面白かったし、すごかった!
ただ最後、「え、千早いつのまに太一のこと好きになったの!?」と怒涛の展開にびっくり。
筆者はてっきり名人・クイーン戦の時に新と千早はもう両片想いで、言葉はなくてもお互いの気持ちがわかっている、実質付き合ってるみたいなもんだと思っていたのです。まさかの大逆転でした。
新は28歳で隣にいるのは自分、と言っているのでこの三角関係はまだ続く可能性はありますが。この作品の評価が、太一派と新派で二分してしまったのだけが残念です。
友情、姉妹愛、幼馴染の絆、たくさんの人に百人一首と競技カルタの魅力を伝えてくれた唯一無二の作品でした。
五十巻には花野さんを主人公に、その後が少しだけ描かれた番外編が収録されています。
まだ読んだことのない方は、ぜひ最終回の余韻のままに一気読みしてみてくださいね。
素晴らしい青春をありがとうございました!!!