2017〜2021年の4年間に渡って連載された漫画『ランウェイで笑って』は全22巻で完結しました。
この作品は巻毎の区切りで大きな舞台が切り替わっているのでとても読みやすいです。
今回は『ランウェイで笑って』のあらすじと、最後どうなったかをざっくり紹介します。
途中まで読んだけど…という人はぜひ最終回を読む前におさらいしてみてください。
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目次
1~3巻 序章
小学生ながら圧倒的なスタイルを持つ藤戸千雪。
彼女の夢は父親のモデル事務所「ミルネージュ」のモデルとしてパリコレに出演すること。しかし高校生になっても千雪の身長は158cmから伸びなかった。
ショーモデルとしては致命的な低身長に周囲は「諦めろ」と言うが、千雪は一度クビになった事務所のオーディションを受け続けている。
高校3年生の春、千雪は同級生の都村育人がファッションデザイナーを志望していることを知る。
家庭の事情で夢を諦めようとする育人に、千雪は「自分が最も魅力的にみえる服」を作るよう依頼し、事務所のオーディションに挑む。
育人の作った服は人気モデル・セイラの目に留まり、SNSで拡散された。千雪の父親・藤戸社長に才能を認められた育人は、柳田一というデザイナーの下で働きはじめる。
育人が柳田の下で働き始めた翌日は、日本で一番のァッションショー「東京コレクション」が開催される日、柳田の超重要な舞台本番だった。
ファッションショー当日、モデルに欠員が出るというトラブルに見舞われた柳田の元へ千雪が派遣される。
柳田は激昂しながらも育人に千雪に合わせて服を直すよう指示する。育人はこれに応えてなんとか舞台を成功させる。
3~9巻 芸華大文化祭編
東京コレクション終了後。芸華大学の学生が柳田チームに加わり、育人はモデル兼デザイナーの長谷川心、そして有名ブランド社長の孫であり、圧倒的な実力を持つ綾野遠と出会う。
芸華大学文化祭のファッションショーに高校生ながら外部生としてエントリーした育人は、セイラに似合う"パジャマ"を作って、見事に予選3位で突破。
一方の心はトップモデルを目指せる恵まれた体格を持ちながら、デザイナーとしての夢をマネージャーに反対されて、悩み苦しんでいた。
マネージャーに認めてもらうために千雪をモデルとして結果を残すことになった心。千雪と育人はライバルとして芸華大の舞台に挑むことになる。
その頃、母親の入院費がかさみ、文化祭本選への出場が危ぶまれる育人に対して、周囲は「自分のところでパタンナーとして働け」「心の夢を諦めさせることができたら資金を援助する」などと持ちかける。育人はそれらを跳ね除け、千雪の父親・藤戸社長が買い取ったデザイン料で無事に本選出場を果たす。
文化祭当日、「世界の輪」を表現した育人、服の変化で「わくわく」を表現した心、そして圧倒的な「調和」を学生とは思えないレベルで見せつけた遠。
審査結果は遠の圧勝だったが、辞退した遠に代わって心が最優秀賞を獲得した。育人は遠に勝てず悔しさをみせる。
高校を卒業し、進路に迷っていた育人だったが、YANAGIDA組の解散によって Aphro I dite のインターンとして実戦で最短の道を進むことを決意する。
一方の千雪も、学祭でのショーのウォーキングを評価され、新雑誌の専属モデルに抜擢される。
10~12巻 Aphro I dite 編
国内最高峰のファッションブランド Aphro I dite のインターンとなった育人は、驚くべき勢いで社員に昇格する。花丘 真白、佐久間美依との出会いを経て、再び柳田の下で働くことに。
ところが柳田や美依のようなコネ入社を許せない同僚たちとたびたび衝突する。その頃、綾野遠は Aphro I dite後継者としての道を捨てて独立を果たし、世界的モデル・シャルとタッグを組む。
パタンナーとして生地の知識と技術を磨いた育人は、ウィメンズライン・figureのカプセルコレクション成功の立役者となり、カジュアルライン・novice のチーフデザイナーに抜擢される。
13~19巻 合同展示会編
早くパリコレへー 独立へと気持ちが逸る育人だったが、デザイナーとしての成功と知名度の重要性を知り、綾野遠も参加する合同展示会を目標に定める。
元チーフ・佐久間美依と新人パタンナー・花丘真白とともに新作バッグ「CALACURI」を開発した育人。
美依の人脈と、モデルとして力量をあげた千雪の活躍で、日本一のスタイリスト・カジテルミを認めさせて、東京"ガールズ"コレクションでのPRに成功する。
そして挑んだ合同展示会。Aphro I diteから独立してデザイナーとしてのエゴに到達したAYANO(遠のブランド)に、育人たちはなかなか追いつくことができない。
世界的ファッションの重鎮・オリヴィアの評価を得た育人は、美依の起点で助けに来た千雪の助力もあり、メインブランドのAphro I diteを追い越して、「novice」は展示会の売上1位を達成する。
20〜22巻 東京コレクション編
育人は、営業として美依、パタンナーとして心・花丘の両名を誘って、遂にオリジナルブランド「EGAO」を立ち上げる。
目指すは東京コレクション。だが、資金もない無名のデザイナーとブランドでは出場さえ厳しい。美依と千雪の努力の成果も重なって、育人は有名映画監督・北谷つとむの映画衣装提供の機会を得る。
その頃、千雪の父・藤戸社長は業務提携の圧をかける海外モデル事務所「BEYOND」に対抗するべく死に物狂いで仕事をしていた。父親の命を守るため、千雪は自らミルネージュを手放すよう父親を説得する。
幼い頃から描いてきた『ミルネージュでパリコレへ』という夢。ミルネージュがなくなったことに想像以上にショックを受けた千雪は、いままで通りの仕事ができなくなってしまった。
一方、育人の「EGAO」は藤戸社長の最後の足掻きで世界的ファッション雑誌・Ocelotへの掲載が決まる。
育人は東京コレクションのコンセプトを『藤戸千雪』に決め、千雪が笑顔になれる服を作ること決意。前代未聞の2会場を使った演出で、2組1対で千雪のこれまでの人生を表現する。
藤戸千雪のために作られた服を纏い、圧倒的な「個」を表現した育人の服をまとった千雪。そこにはもはや千雪の身長をきにする観客など誰一人いなかった。
自分たちの周りの常識を変える、そして世界を倒したらハイパーモデル。そうして2人は世界を変えてきたのだ。
千雪は心からの笑顔で育人に「パリに行きたいよ」と告げる。
最終話(194着目)の結末は?
東京コレクションで『パリに行きたい』という気持ちと『笑顔』を取りもどした千雪。
2021年の東コレ初出展から、北谷つとむの映画作品「Smile at the Runway」で世界的に注目を集めた"EGAO"は、2022年NYファッションウィークに初出展、ヤングクリエイター賞を受賞。
2023年ミラノファッションウィークに初出展、国内外にも店舗を広げ、あまたのブランドや企業とのコラボを果たす。
そして2024年、ついにパリコレに初出展。
当日のモデルの状態に合わせた"個"のためのファッションと、ランウェイを笑顔で歩く多種多様なモデルの姿は『Be You』と称され、のちのファッション業界に大きな変革をもたらした。
もう低身長でもパリコレを夢みる少女に「諦めろ」という人はいない。雫は155cmでパリコレを夢みる少女に「きっと行けるよ」と優しく返す。
そして10年後、今や世界を代表するブランドになった"EGAO"、そしてデザイナーの都村 育人。
育人は「今日はどんな風に歩けばいい?」と問いかける千雪に「笑って」と、ただそれだけ答えるのだったー
~FIN~
育人が最後結婚したのはだれ?
最終話で読者の度肝を抜いたのが、育人の薬指の指輪のアップ。
これは作者さんが単行本のあとがき(インタビュー)で言っているのですが、「恋愛要素のある漫画で好きなヒロインが主人公と結ばれなかったりするとすごく悲しいんです」「皆さんの推しと結婚したと思っていただいて差し支えありません!」とおっしゃってる通り、読者に想像の余地を残した恋愛ハッピーエンドという形です。
最終回が掲載された当初のSNSでは7〜8割が千雪ENDという印象でした。最後の最後まで育人と千雪の2人物語でしたからね。
とはいえ、育人が千雪・心・美依さんの3人のヒロインから想いを寄せられていたことは間違いなく…。
はっきりと描かれないのは少しもやもやする気持ちもありますが、自分の好きなキャラとくっついたと割り切りましょう!
ちなみに雫さんに「私もパリコレ行きたい!」というモデル事務所の女の子は「2人の子供では…?」なんて意見もありました。
育人に似た黒髪ボブ+大きな丸い瞳だったからです。しかし、筆者は「小さい子にも夢を諦めないでいいって言えるようになった」ことを表現しただけの描写だと思っています。10年の間にできた子にしては大きすぎるのが理由。
あとがき・感想
連載中は作中に出てくるファッションがダサいといった、悲しい感想もちらほらありました。
筆者は1〜3巻は夢中になっていたのですが、途中から省かれたエピソードの多さが少し残念に感じました。しかし、8巻あたりからは加速度的に面白かったです。
ちょうどファッションに監修がついた頃でしょうか、特に『芸華大文化祭編』での衣装や作画は鳥肌ものでした!
作品の熱量に後押しされるようにどんどんファッションについて知りたくなって、この作品で"モード"の本当の意味を理解しました。
YOHJI YAMAMOTO、COMME des GARCONS(コムデギャルソン)、イッセイミヤケの歴史を調べました。
世界のファッションウィークや服飾大学の文化祭を実際に見に行ったりもするほど影響を受けました。人の興味の幅を広げられる漫画って本当にすごいと思います。
最終巻のあとがきで、これが作者さんの初連載と知って信じられなかったほどです。総じて素晴らしい作品でした。
今後の猪ノ谷言葉先生の作品も楽しみにしています!
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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