絵が美しい漫画家といえば一番に思い浮かぶのが、清水玲子先生。 美しいイラストが際立つ、深く残酷なストーリーを描いたSF作品が特徴です。
今回は言葉を失うほど美麗な清水玲子先生の作品の中から、初めて読む人も押さえておきたい名作をご紹介します。
1月の子 MOON CHILD
人魚と人間の恋が結ばれたとき、地球は死の星となるー
数百年のときを経て、宇宙から戻ってきた人魚族がみたのは、汚染された地球環境だった。人魚だった記憶を失い、人間との恋に落ちるジミー。人間と人魚の恋は、本当に災いを招くのか。
壮大な世界観に引き込まれるSFファンタジーの超大作です。絵柄と海外の雰囲気があっていて、筆者が一番好きな作品。文庫版は全8巻完結。
2竜の眠る星
24世紀のニューヨークに住む、お人好しロボット・ジャックと相棒の万能ロボット・エレナ。探偵を営む彼らはある依頼を受け、恐竜が棲息する惑星“竜星王(セレツネワ)”へ旅立つことに…。
『ジャック&エレナシリーズ』は、ロボットのジャックとエレナを主人公としたSF作品です。唯一の長編作品である本作は、切なく、緻密なストーリーが特に心を打つ名作。もちろんシリーズの全作品おすすめなのですが、他のシリーズ作品を読んでいなくても感動します。全2巻完結。
3輝夜姫
赤ん坊のときに竹林に埋められていたのを発見されたという謎の過去を持つ少女・晶は、突然2人組の少年に連れ去られ、妖しき天女伝説が残る南海の孤島・神淵島へと連れて行かれる。その島で自分たちが生贄として育てられていたと知った晶たちはー
島でのホラーミステリーから始まり、そのストーリーは、やがて陰謀渦巻く世界の闇へと進んでいきます。 美しいイラストと、恐ろしいほど壮大なスケールで描かれたSF大作。読むなら文庫版がおすすめです。 全14巻
4100万ポンドの愛
1982年の『フォクシー・フォックス』から『100万ポンドの愛』、『清水玲子の今昔物語』など、清水先生の初期作品2年分を詰め込んだ7編を収録した短編集。
清水先生の絵柄は、外国を舞台にしたテーマが本当に似合います!この頃の作品は、鬱々とした重いものよりも、軽く読めるテンポの良いものが多い印象。
『秘密ートップ・シークレットー』から入った読者は、新しい清水先生の一面を見られる一冊です。
5WILD CATS
自分を猫だと信じているライオン「シーザー」は飼い主の龍一ぼっちゃんが大好き。それなのに、大きな体格に似合わぬ気の小ささで、猫よりも弱いライオンになってしまう…。
猫と間違えられ、育てられたライオンと優しい人間との、ちょっと切ないほのぼのストーリー。ライオンの目線で描かれた世界がとても切なく、新鮮です。単巻なのに読み応え抜群の作品。
6秘密 ―トップ・シークレット―
近未来、死人の脳から記憶を映像として再現できるようになった社会では、「科学警察研究所 法医第九研究室」、通称「第九」と呼ばれる警察機構によって、これまで解明不可能とされていた事件を次々と解決していた。世間から強い偏見と反発、心を病むほどの過酷な捜査。そんな中で新人の青木(あおき)は、第九室長 薪 剛(まき・つよし)と出会い、様々な事件と”秘密”に関わることになるー
近未来の日本を舞台にした本格SFサスペンス。猟奇殺人や虐待、当時の世相を反映した社会問題を直接的に描いており、清水作品の中ではサスペンス・ホラー要素が特に強烈な作品。それでも続きを読まずにはいられないほど、惹きつけられる魅力があります。
全12巻で本編は完結していますが、現在は外伝を連載中。
7Deep Water〈深淵〉
平穏に暮らしていた少女の周りで、次々と猟奇的な事件が起こる。潔癖性の刑事・高比良は、事件の中心となる少女・神原醒を守ろうとするが…。
『秘密ートップ・シークレットー』に次ぐ、警察ものとして描かれた最新作。ファンタジー的な表紙とは裏腹に、すさまじい伏線と事件が描かれた壮絶なサスペンスです。 読後感はあまりよくないですが、サスペンスものとして最高傑作。
あとがき
『秘密ートップ・シークレットー』が代表作として有名ですが、筆者は『月の子』、次いで『輝夜姫』が一番好きで、特におすすめします。
人肉食、同性愛、クローン人間、近親愛、猟奇殺人といった敬遠されがちなテーマを、目をそらさずに描き続ける清水先生。 本当に読んでいて背筋が凍ることも多いのですが、読まずにはいられない魅力があります。
NHKの『浦沢直樹の漫勉』という番組で、実際に絵を描く清水先生の様子をみて、その繊細な仕事ぶりに感動しましたので、興味のある方はぜひ見てみてくださいね!
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
清水玲子先生の作品はマンガParkで一部無料で読めます。