漫画「あまつき」ってどういう話?あらすじと最後どうなったかを解説!【ネタバレ注意・考察】

異世界ものが好きな方なら『あまつき』という作品をご存知でしょうか。

最初は幕末にタイムスリップする話かなと思うのですが…伏線が張り巡らされた大人がハマる壮大なファンタジーです。

今回は『あまつき』のあらすじと最後どうなったのかをざっくりとご紹介します。

「途中まで読んでいたけど内容忘れてしまった」「最終巻前におさらいしたい」という人は途中まで読んでみてください。

それではどうぞ!

これまでの「あまつき」のあらすじ

最先端のCG技術で作られた「大江戸幕末巡回展」へとやってきた六合 鴇時(りくごう ときどき)は、鵺という妖に襲われて気づいたら江戸時代のような世界『雨夜之月(あまつき)』に迷い込んでしまった。

そこで出会ったのは同じく現代から迷い込んだ篠ノ女 紺(しののめ こん)朽葉(くちは)。そして妖と対立する人間たち。

帝天が描いたこの世の設計図「天網(てんもう)」を書き換えられる白紙の者として、鴇時は妖と人間の板挟みになるが、過去の出来事から八方美人で優柔不断な性質をもつ鴇時はどちらも選ぶことをしなかった。

人間側の姫巫女である銀朱は、天網の破壊を試みて一人帝天に挑むが破れ、その存在ごと書き換えられてしまう。 (6巻)

(出典:あまつき)

憤った鴇時は「妖と人間、双方共通の敵は帝天である」として、人間側の陰陽寮と梵天率いる天座を結びつけることに成功。

ところがその矢先、夜行率いる妖たちの強襲に会い、真朱と朽葉がさらわれてしまった。

朽葉たちを助ける術を模索する鴇時たち。そんな彼らの前に闇に包まれた江戸城天守閣が現れる。(12巻)

(出典:あまつき)

江戸城に乗り込んだ鴇時たち。夜行はあらゆる手を使って妖と人間を対立させようと姦計をめぐらす。

過去の真朱との記憶を取り戻した露草、犬神祓いの村と決別した萱草。

空五倍子(うつぶし)は雲外鏡の鏡の破片から鴇時を守って分裂。その仮面の下からでてきたのはかつて鴇時が現代で出会った刑事・半(はした)だった。

半と出会うことで、青鈍(あおにび)若桜の現代での記憶がよみがえり、彼岸とあまつきの物語が繋がりはじめる

銀朱の事件以降記憶を失っていた紺が胡僊(こせん)であったことが判明。上野・寛永寺での妖との戦いを経て、鴇時はついに朽葉を救いだす。

(出典:あまつき)

弁天堂本殿から逃げた鴇時たちは、現代で半たちが探っていた新橋病院そっくりな空間にたどり着く。

そこで現れた夜行とぬらりひょんによって鴇時たちは三組に分断される。それぞれ牛鬼、狒々、そして空芒という妖と対峙することに。

空芒と対峙した鴇時、半、紺の前で、梵天は自身が千歳緑であること、あまつきが千歳グループが作り上げた脳内ホスピス、つまりバーチャル空間であることを口にして管理者に消されてしまう。

鴇時は帝天を出し抜いて存在する篠ノ女に詰め寄り、篠ノ女が白藍らに千歳コーポーレーションを調べるよう依頼した張本人であること、かつて漆原の片腕として数年間研究の手伝いをしていたことを知る。

(出典:あまつき)

天才児だった篠ノ女は、無駄の多いカントリーライフをおくる両親とぶつかり、幼くして都会で一人で暮らすことに。

そこで喫茶店のマスターに出会い、自分の手でものを作る喜びやリアルを生きる楽しさを知る。

ところがマスターは眼の移植手術に失敗して失明。篠ノ女はマスターの治療費を稼ぐため、漆原の片腕として数年間研究の手伝いをしていた。

しかし友人であるロボット夜を奪われて、夜を取り戻すため白藍たちに依頼し、あまつきにハッキングして乗り込んでいたのだ。

病院の奥へと進んだ鴇時たちは、あまつきが人間の脳をメインコンピュータとして動かしていることを知る。

成長したりりを取り戻し、夜行が敵ではないとわかった鴇時たちは、あまつきにいるであろうもう一人の仲間・蘇芳を見つけることに。

邪魔をする夜行を露草たちが足止めし、最深部へと向かった鴇時と紺。

そこで見つけたのは体から脳を取り出され、あまつきの中だけで生きている蘇芳だった。

蘇芳は「ちとせを止めてくれ」と鴇時に頼み、幕末巡回展のメインシステムをハッキングして鴇時の意識をあまつきに繋いだこと、ちとせとの過去を話しだす。

最終23〜24巻の内容は?

16歳の誕生日。ちとせこと千歳萌黄は自社ビルから逃げだして蘇芳と出会う。

弟が生まれたことで幽霊のような存在になってしまったと話す萌黄に、蘇芳は「自分で自分を不幸にするな」と諭す。

蘇芳に心を寄せ、そのアパートに度々出入りするようになった萌黄。ところが周防の周りにいた組の悪党に目をつけられて、萌黄の弟・緑が誘拐され、緑は全身不随になってしまった。蘇芳は半の力を借りて組の連中を潰すも、漆原に殺されかける。

壊れた萌黄は漆原と人体実験を重ねる研究にのめり込むが、『蘇芳の死』という弱みを握られて帝天となり、数百人の人間の脳をコンピュータにあまつきという世界を作り上げた。

すべてを語った蘇芳は鴇時に「俺を死なせてくれ」と頼む。(23巻)

(出典:あまつき)

 

このままあまつきに繋がれていれば、いずれすべての実験にされている人間がCFS(脳の酷使による慢性疲労)で死に至る。

自分を殺させるためにAIを使って鴇時をあまつきに取り込んだ蘇芳は、夜行にウイルスを注入して一時的にメインシステムをダウンさせ、その隙に鴇時に現代に戻って自身を死なせるように頼む。

夜行はちとせの意識に乗っ取られて暴走していた。これまであまつきで死んだ多くの人の想いが交錯する中、紺は自身が消えるのも厭わず夜行の体にウイルスを差し込む。

夜行は篠ノ女の友達だった『夜』の姿に戻り、これまで回収・記録し続けたあまつきのすべての断片を鴇時たちにみせる。

夜の記録がある限り、あまつきは歴史にはなっても幻にはならない

住む世界が壊れることで消えてしまう露草や朽葉たち。「鴇時はもう一度始めればいい、新しいあまつきを作ればいいだけだ」と断言する。

露草や朽葉と再会の約束をして、鴇時は彼岸へと戻ってきた。病院のVIPルームで目覚めた鴇時は蘇芳の元へ。静止するちとせを諭して、その生命装置を停止させる。

あまつきはすべての機能を停止して収束した。

(出典:あまつき)

 

5年後、あまつきを作らせた千歳グループの社長と製作者の萌黄が逮捕され、一部の被害者は精神的な後遺症を抱えてしまった。
しかし、全身不随だった緑は上半身を動かせるまで奇跡的に回復する。

鴇時と紺はあまつきを現実に引き戻すための研究を重ねていた。

彼岸の人格や外見をコピーして生まれた唯一無二のあまつきの人物たち。鴇時たちは夜から一人一人の人格データを取り出して、再会することに成功する。

(出典:あまつき)

時は流れ。成長した璃々は半とともに、いまだ逃走している漆原を捕まえるため、新時代技術の発表記者会見場にいた。

それはまるで過去に千歳のAR技術発表記者会見を見たときの頃のようだったー

(出典:あまつき)

最終回の感想

彼岸とあまつきが繋がりはじめてから加速度的に面白くなっていった本作。

ただ「あまつき」がバーチャル世界で朽葉や露草がデータ上の存在とわかった時点で、ハッピーエンドは無理なんじゃないかと思っていました。

しかし最後には絡み合った伏線がきれいに解けて、とても救いのある作品だったと思います。

最初は幕末にトリップする異世界ものかなと思っていましたがとんでもない…!

この作品は今後ありえるかもしれない社会を如実に描いた本格派近未来ファンタジーでした。

哲学的な要素も随所に盛り込まれており、作品の中ではたくさんのキャラクターが「思考」しています。

人間とは何か、妖とは何か、天網とは何か、記憶とは何か。

一読しただけではとてもじゃないですが理解しきれないほど奥の深い作品です。

女性受けするカッコいいキャラクターや美しい絵柄に注目してしまいますが、生き様を模索する多くの大人に読んでほしい作品だなと思いました。

あとがき

初めて2017年に最終回を読んだときはハッピーエンドでよかったくらいの感想しか抱きませんでした。

けれど年月が経って科学の進歩を感じれば感じるほどこの作品の意味を深く考えるようになりました。

もし「途中まで読んだけど最後みてないんだよな」という人がいたらぜひ最後まで一気読みしてください。

今の時代だからこそ感じとれるものがたくさんある作品です。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。