「私たちはどうかしている」の結末は?漫画とドラマの犯人の違いと最終回の感想【ネタバレ注意】

2016年から4年半に渡ってBE・LOVEで連載され、2020年にドラマ化された愛憎ミステリー「私たちはどうかしている」が、ついに全16巻で完結しました。

今回は途中まで読んでいた人のために、巻ごとのエピソードとあらすじをざっくりとご紹介します。

物語が複雑になってきたので「あれ?どこのシーンだっけ?」「最新刊を読む前におさらいしたい」なんて時にご覧ください。

また大好評を博したドラマ版との違いも、原作ファンの目線でお届けします。
ちなみにこれから「わたどう」の世界にはいる人には漫画→ドラマの順で閲覧することをおすすめします。

それではどうぞ!

全体的にざっくりまとめているので、一読したことがある方向けです

ネタバレしたくない人は途中で読むのをやめてね

これまでの「私たちはどうかしている」をおさらい

第一部(1〜7巻)

幼いころ、老舗・光月庵で出会った椿と七桜。しかし七桜の母親は椿の父親を殺した罪を着せられ、そのまま亡くなってしまう。

15年後、和菓子職人として働いていた七桜だったが、「花岡七桜の母は人殺しです」という手紙によって店を追い出されてしまい、謎の男から母の無実を訴える手紙を受け取る。

母の無実と事件の真相を突き止めるため、七桜は正体を隠して椿のプロポーズを受け、光月庵に住み始める。(椿が七桜にプロポーズした目的は長谷屋の財力で店を立て直そうとしたことへの宣戦布告)

白藤屋とのトラブルを経て、少しずつ七桜に惹かれる椿。肌を重ねた二人だが、椿は"さくら"と呼ばれていた過去の七桜に憎しみを抱いていた。
七桜を"さくら"と疑い、嫌がらせをする女将・今日子。七桜を庇って怪我をした椿だったが、二人は力を合わせて茶会の菓子・落とし文を仕上げ、徐々に絆を深めていく。(4巻)

"しまや"のわらび餅を再現して城島を助けようとする七桜。女将の嫌がらせを機転で乗り越えて、見事百貨店の催事を成功。椿とも心を通わせる。

椿の子を妊娠しているとわかった七桜はすべてを打ち明けようとするが、かつて母と住んでいた部屋で椿の父・樹と母が恋仲だったこと、自分が光月庵の正統な跡取りであることを知ってしまい、椿の元を去る決意をする。

大旦那の茶会の日。若旦那の部屋へ忍び込んだ七桜は今日子と対峙し、本当は"さくら"であったことが椿にバレてしまう。

母屋で火事が起きても椿を待とうとする七桜だったが倒れ、椿も意識不明の重体に。七桜はそのまま光月庵から姿を消してしまったー

第二部(8〜14巻)

3年後、七桜は金沢に戻り、多喜川と共に「花がすみ」という小さな店を開く。

椿は火事のときの記憶が曖昧で、自分は七桜ではなく後継者としての証(菓子道具)を選んだと思い、過去を吹っ切ろうとしていた。

園遊会の選定会で再び光月庵と対決することになった花がすみ。五月雨亭の庭で椿と再会した七桜は、椿が目に不調を抱えていることを知る。
温泉宿で共同で和菓子を開発することになった二人。七桜は復讐のため、そして椿に目の手術を受けさせるためにも、光月庵を自分のものにする決意を固める。

七桜は大旦那に自分が本当の樹の子供であることを告白。大旦那は除夜際で、二人に店をかけて勝負させることに。

勝敗の行方を女将にも決めさせようとするが、女将が選んだのは七桜の菓子だった。
再び倒れた大旦那は椿が作った菓子は大旦那のために作られたものであり、これからは自由に菓子を作って欲しいと椿に告げて亡くなってしまう。

葬儀の席で七桜に後継を譲った椿はそのまま光月庵を去る。一方、当主となった七桜は武六会で老舗の重圧の洗礼を受ける。

今日子は店の道具を七桜の前で燃やそうとするが、夕子から七桜が火事のときに妊娠していたこと、裏で多喜川が暗躍していたことを知った椿は、七桜の側にいることを選ぶ。

多喜川が何の目的で動いているのか探る椿。多喜川に結婚を迫られる七桜に嫉妬した由香莉は、かつて七桜を解雇に追いやったメールは多喜川が送ったものであると暴露し、七桜はショックを受ける。ずっと七桜に味方していた多喜川は、かつて家族を崩壊させた女将・今日子に復讐するために七桜を利用していたのだ。

女将としての今日子を尊敬する由香莉は、なぜ七桜の母親が一度は罪を認めたのか、誰かを庇ったのではないかと疑問を呈する。椿は、子どもの頃の曖昧な記憶から父親を殺したのは自分ではないかと考えるようになる。

真実を知るために手を取った二人は、再度七桜の母・百合子の手紙を調べて、とある住所の場所を訪れるー

ついに真相へ!最終回15〜16巻の内容は?

母の手紙の中で唯一異なる住所を見つけた二人は、山奥の家で死んだと思われていた多喜川の父・秀幸と対面する。

秀幸は光月庵に入る前から百合子の菓子のファンだったこと、百合子と樹、今日子の本当の過去を語りはじめる。

樹を愛する今日子は先代の大旦那を騙して多額の借金を負わせ、家宝を売ってあたかも救ったかのように見せかけた。樹は父のため、店のために今日子と結婚することを決める。

しかし別れて数年後に偶然百合子と再会し、百合子は七桜を授かる。
どうあっても樹に愛してもらえないことに絶望した今日子は秀幸に迫り、椿を授かる。それは血の繋がりのない椿を後継者にすることで大旦那と樹へ復讐するためだった。

数年後、母子一人で苦労していた百合子を樹は職人として光月庵へ迎える。樹と百合子は今日子が策謀を巡らしていたことを知り、店を捨てて二人でやり直そうと考え始める。そんな矢先に樹が何者かに殺されてしまった。

百合子は自分さえ諦めていれば樹は死なずにすんだのに…と自責の念を抱く。
一方、百合子の手紙の続きを隠していた秀幸は、樹を殺したのは息子の薫(多喜川)ではないかと考えていた。

過去の話を聞いて、朝一で多喜川の元を訪れようと決める椿と七桜。
深夜、七桜を殺そうとする今日子とそれを止めようとする多喜川が現れる。七桜を庇って怪我をした多喜川は、これで女将を道連れにできると宣う。

真犯人は多喜川だったのかー?

ところが今日子はかつて自分が多喜川の母・美由紀を追い詰めて殺人教唆したことを明かす。
今日子の目的は、美由紀が自分を殺害し、その罪を百合子に着せることで百合子を殺人犯とし、樹との逃避行を阻止することであった。

踏切で死のうとする女将に、椿は美由紀が樹を刺したのは、間違えたからではなく樹が今日子を庇ったからだと告げる。樹の死に際の言葉が「今日子を守ってやってほしい」だったことを思い出したのだ。

多喜川は病院へ、女将は警察へ。椿は再び光月庵を去る。
七桜は多喜川に背中を押されて、光月庵を去った椿にプロポーズをする。

自分が椿を幸せにすると言う七桜を、椿は優しく抱きしめる。
傷つけあってばかりだった過去のわだかまりが解け、二人はずっと一緒に乗り越えようと誓うのだった。

今日子をどうする気かと問う武六会の重鎮に対して、七桜と椿は側にいるものを守りながら未来を作っていくと宣言する。椿を再び当主とし、二人は新しい光月庵を作っていくのだ。

月が最も美しい季節に結婚式をあげた二人は、今までとは違う嘘偽りのない気持ちで本当に結ばれる。

今日子はそっと光月庵を去り、七桜は椿を愛する気持ちだけを持って、これからも和菓子を作り続けていくー

犯行動機を解説!原作とドラマの違いとは?

9巻まではほぼ原作通りで、所々のエピソードは12巻の内容を踏襲していました。

ドラマでは温泉宿で七桜と椿が一緒にお菓子を考えるエピソードが省かれて、一気に11巻の除夜祭対決へと飛びますー

【ドラマの最終回】
除夜祭で今日子が七桜の菓子を選び、七桜が勝利する。そして椿は光月庵を去る。しかし、今日子は七桜に「この店は渡さないわよ」と宣言。
かつての若旦那の部屋で伝統の道具箱に火をつけようとする今日子。そこには今日子に刃を向ける多喜川が。
椿はかつて今日子が百合子の包丁を持ち出したと聞いて、真相を知るべく光月庵に戻る。無事道具箱を守った七桜と椿だったが、今日子は自分の不遇の過去を話し、百合子に罪をなすりつけるべく狂気の包丁をすり替えただけだと告白。そして真犯人は…多喜川だった。今日子によって家族をめちゃくちゃにされた多喜川は、母の自殺を目の当たりにして父・秀幸と今日子を別れさせるために光月庵に乗り込んだところを、樹と鉢合わせてもみ合いになり誤って殺してしまったのだ。多喜川が再び七桜の前に現れたのは、自分のせいで奪ってしまった光月庵という居場所を七桜に返すため。「母親は人殺し」というメールを送ったのも、光月庵を乗っ取るよう仕向けさせるためだった。多喜川が警察に連行され、今日子は茫然自失のまま光月庵を飛び出す。
トラックに轢かれそうになった子供をかばった今日子は、自身が本当の家族であった椿をないがしろにしていたことに涙を流し、息を引きとる。
今日子は親族への臓器提供の意思を示しており、椿は角膜の提供を受けて目を治した。数ヶ月後、光月庵の当主となった七桜。
無事に目の手術をおえた椿と再会し、そばにいてほしいと伝える。
椿はそんな七桜を抱きしめ、ずっと一緒にいることを誓うのだった。

というわけでドラマの犯人は多喜川薫(息子)、原作の犯人は多喜川美由紀(母)でした。

樹を殺した理由はどちらも事故、動機は(家族を壊した)今日子への恨みというところが一緒です。ただドラマでは多喜川さんが警察に行きましたが、原作で今日子さんが罪に問われるかというと微妙ですよね…殺人教唆と言っても正妻を煽って自分を殺させようとしただけですから。

どちらかといえばドラマの方が救いがないです…今日子さんや秀幸も最終的に死んでしまっています。

原作では武六会がでてきたり、椿と七桜が一緒に真相を探していくという流れですが、ドラマは完全に多喜川の自白で終わってしまったので駆け足な感じはありました。

ドラマはHuluで全話無料で公開されています。

原作で何があったのか、それぞれの思惑は以下に相関図をまとめてみました。
【原作相関図】
※画像は引用として原作からお借りしています

最終回の感想

正直、ドラマで先に最終回を見てしまったので、多喜川家が何かしら関係しているんだろうなということは原作読了前からわかってしまいました。それゆえに、ネタバレされたような気持ちですこしだけ残念でした。

また、13巻あたりからは原作がドラマに引っ張られたのかなと感じます。それだけドラマが素晴らしかったということです。

原作は栞の姉・美由紀と多喜川の父・秀幸がでた辺りからすこし話がこんがらがってきた印象を受けました。
なぜだろうと考えた時、前半7巻で明かされていた今日子さんの過去に読者は同情の気持ちを抱いて、「あぁ、こういう過去があったのか」と半分腑に落ちていたところで、実は結婚の時点で今日子さんが仕組んでいたこと。

樹は大旦那様の圧力で百合子と別れたわけではなく、自分の意思で今日子さんと結婚したのに、百合子と会った一度で気持ちが盛り上がってしまった…これでは完全に"不倫"になってしまったからだと思います。

現実的に考えれば気持ちをコントロールできない人間らしい感情の変化ですが、前半で「美しい悲恋故に起きた物語」を期待してしまった読者からすると、いや樹と秀幸が悪いやん、大人世代が不倫しただけやん、と思ってしまうのです。振り回された七桜と椿がただただ不憫ですね。

BE・LOVEで連載しているので違和感はないのですが、とことん大人向けの少女漫画でした。

おまけ、ファン待望の続編決定!

犯人がわかって、七桜と椿も結ばれて、面白かった!!と、終わりたいところですがなんと新婚編の掲載決定しました。

「わたどう」の物語自体は15巻で実質クライマックスな感じがします。16巻で結婚までの道のりが丁寧に描かれました。
連載中から「七桜と椿のラブラブがみたい!」「2人をなんとか幸せに!!」という感想が多くみられた作品ですのでファンの期待に答えた形だと思います。

筆者としては愛憎ミステリーがなくなったら別作品になってしまうような気もするのですが…それはそれで楽しみたいと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。