NAVER運営の漫画サイト「ウェブトゥーン」にて連載された、究極のラブミステリー。
その計算され尽くした表現と巧みな心理描写で、世界11億PVを突破し、日本でも人気の高い作品です。
韓国では2016年には映画・ドラマ化されて社会現象となり、日本でも2018年に映画が公開されました。
2018年には、多くのファンから支持を得て、日本語版の単行本が発売されています。
目次
主要な登場人物紹介
赤山雪
経営学部3年生。真面目で勉強熱心な優等生。奨学金とバイトで大学に通っている苦学生でもある。
顔立ちは悪くないが、服装や見た目にこだわらない。天然パーマ。
真面目で観察眼が鋭く、様々なトラブルに巻き込まれる。
青田淳
経営学部4年生。頭脳明晰・容姿端麗、人望も厚く社交的な人気者。
実家はお金持ちで、国内有数企業の御曹司である。
完璧に見えるその裏では、笑顔で人を利用する狡猾さをもつ。
父親に幼い頃から"変な子ども"の烙印を押されており、彼の人格形成に大きな影響を及ぼしている。
河村亮
ハーフのような顔立ちのイケメン。横柄な態度で口が悪いが、正義感の強い一面もある。
幼い頃に家族と離れ、青田淳の父に引き取られる。
同じように引き取られた姉・静香は、過去に叔母のDVに苦しめられていた。
姉を一度見放した罪悪感から、見捨てることができないでいる。
『チーズ・イン・ザ・トラップ』の基礎知識&時系列
背景にある大学の基礎知識
『チーズ・イン・ザ・トラップ』は韓国の大学を舞台にしているため、日本語版にされていてもかなり違和感のある描写が多々あります。
下記の基本情報をおさえておくと、わかりやすくなりますのでご参考ください。
- 韓国の大学は日本の多くの大学と同じく2学期制で、期間は3月から6月までが1学期、9月から12月の中旬までが2学期。
- ほとんどの授業で中間と期末の試験があり、成績をめぐる競争が激しい。
- 兵役や希望の科目を受講できなかったなどの理由で、休学をする学生が多い。大学2年を終える頃までにほとんどの男子学生が休学などを利用して入隊している。そのため「卒業する年齢」は日本と違ってばらばら。
- グループ課題が多く、メンバーの良し悪しが成績に影響するため苦労する学生が多い。学年を超えた授業や課題も多い。
時系列を解説
雪:大学1年生、青田先輩:大学2年生
↓
2人とも休学
↓
過去軸(背景黒)雪:大学2年生、青田先輩:大学3年生
↓
雪:休学を考えるが見送り
↓
現在軸(背景白)雪:大学3年生、青田先輩:大学4年生
本編で描かれているのは雪が大学2・3年生のたった2年間の出来事です。
ここからは『チーズ・イン・ザ・トラップ』のあらすじを各章ごとにまとめています。
たくさんの人間関係や事件が複雑に絡み合うため、メイン3人に焦点を当ててご紹介します。
第1部あらすじ (予告編〜47話)
大学2年生の二学期が終わる頃、赤山雪(以降:雪)は二度目の大学休学を決意する。(雪は1年前にもお金の都合で大学を休学している)
首席を取れず全額奨学金がもらそうにないこと、それ意外にも何か理由がある様子だがまだわからない。
親に休学の決意を話した直後、首席の青田淳(以降:青田先輩)のレポートがなくなり、奨学金が次席の雪の元に転がり込んでくる。
休学を取りやめた雪に、今まで自分を苦しめていた青田先輩が突然親しげに話しかけてくるようになった。
時は1年前に遡る。
同じ復学生として大学に復帰してきた青田先輩。(原作では兵役のための休学になっている)
酒の席で雪は青田先輩に違和感を感じる。
そして健太先輩に無理やり酒を飲まされ、酔い覚ましに外に出た雪は、青田先輩が電話で自分のことを「汚らしい」と発言しているのを聞いてしまうのだった。
その後、偶然にも青田先輩を避けるために入ったゼミで、青田先輩と一緒になってしまう。
ゼミで普段は人当たりよく振る舞う青田先輩の腹黒さを考えて思わず笑ってしまった雪は、その1年間、青田先輩に容赦無く目障りな存在として認識されるようになる。
物語は、1年前の過去と現在の回想を繰り返しながら進んでいく。
2年生の時の雪は、青田先輩に挨拶をしても無視されたり、書類を蹴飛ばされたり、青田先輩を狙う和美先輩に目をつけられ、勘違い野郎の横山先輩にストーカーされるなど散々な日々を送っていた。
そのようなことがあったからこそ、3年生になって急に態度を変え、親しく接してくる青田先輩に怯えながら、訳がわからないまま振り回される。
爆弾おにぎりを一緒に食べたり、課題の映画を見に行ったり、英語塾を紹介してくれたり。
昨年までの傲慢で堅苦しい印象から一転して、青田先輩との距離は少しずつ縮んでいく。
そんな折に、雪は青田先輩の知り合いらしい男・河村亮(以降:亮)に声をかけられる。
合コンで落とした携帯をきっかけに、何かにつけて亮に絡まれるようになった雪。
家族との確執、グループ課題で屈辱のD評価、親友との摩擦...。
様々な問題を残して波乱の一学期を終える。
第2部あらすじ(48話〜114話)
夏休み、雪は先輩から紹介してもらった大学事務のバイトと英語塾、そして就活のためのボランティアに取り組む。
通い始めた英語塾では、河村亮がモデル兼雑用として働いていた。「ダメージヘア」とあだ名をつけられ、何かと絡んでくる亮。
ピアノを弾けなくなったことが青田先輩のせいだと言う亮。青田先輩との高校時代の関係が少しずつ回想として思い起こされる。
青田先輩と雪の距離は次第に縮まっていくが、雪は昨年の青田先輩の行動がフラッシュバックしては怯えてしまう。青田先輩は去年とは違う付き合いがしたいと雪に告白。
雪は離される手を引き止めて、思わずOKしてしまうのだった。
親友・聡美との喧嘩、父親の事業失敗、アメリカ留学している弟の突然の帰国、下着泥棒事件、塾での噂話など、夏休みも波乱の連続。
雪を横山から守ってくれた亮は塾を辞め、雪の両親が新しくオープンしたそば屋で働くことになる。
青田先輩と付き合い始めた雪は、戸惑うことばかり。
そんな中、遠藤先生を脅して奨学金を雪に渡すために画策した青田先輩の所業を知った雪は悩み、最終的に青田先輩を信じることを選択する。
しかし、悪質な泥棒事件に巻き込まれた雪をみて、青田先輩は犯人に過剰な暴行を行い、雪はその現場を見てしまうのだった。
第3部あらすじ(115話〜225話)
大学3年の二学期が始まるー
雪と青田先輩が付き合っていることを知った学科生達は大騒ぎ。
家族にも紹介しながら、一抹の不安は残しつつも2人の交際は順調だった。
亮は次第に赤山家と打ち解け、雪の後押しでピアノを再開する。
そんな中、雪の服装や行動を真似する女子・香織があらわれる。
復学してきた横山は太一に絡み、健太先輩は相変わらず横柄な態度でチーム課題をやってこない。
終いには青田先輩の彼女を名乗る静香(亮の姉)もあらわれ、様々な思惑が交差していく。
人間関係に悩まされながら、雪は昨年の青田先輩の行いが本当に悪意のあったものではないのかと考えていく。
先輩の本心を知りたいと気持ちをぶつける雪は、先輩へはじめて「好きなんです」という言葉を口にだす。
過去に父親から抑圧を受け続け、恵まれているが故に搾取されてきた青田先輩。
父親は、河村の祖父にあたる教授から自分の異常を治してもらったという恩義を感じており、兄弟のような存在を作ることで青田先輩を矯正しようとしていた。
何も知らずに姉や青田父に利用されていた亮は、青田先輩とぶつかり、その本心を少しずつ感じ取っていく。
そんな折、前の職場の社長が借金取りとして亮の近辺にいた雪を探していることを知った亮は、赤山の店を辞め、雪たちの側を離れることを決意する。
第4部あらすじ(226話〜301話+エピローグ)
3年の二学期も折り返し地点となり、冬が近づいてきた頃ー
青田先輩にもらった卒業試験の過去問狙った、過去問盗難事件が起こる。
やられっぱなしに嫌気がさし、青田先輩のように他人の利用することで犯人に報復を受けさせることができた雪。
そのことを聞いた青田先輩は目を見開いて固まってしまう。自分がしてきたことの客観視し、自分が雪を変えてしまったことを自覚した青田先輩。
青田先輩は今までとは違った形で、河村兄弟と決着をつけることを考える。
そんなある日、亮は青田先輩を呼び出し、人の足元をみて影から利用する青田先輩の性質を指摘する。
雪の過去のトラウマ(手を離せないこと)を利用してぬくもりを与えてきたことを告白した青田先輩は、それを雪に聞かれてしまう。
自分でも気づかなかった幼い頃のトラウマを自覚し、利用されていたことに気づいた雪。
亮は借金取りの手から雪たち家族に迷惑をかけまいと、そのまま消えてしまった。
亮に代わって借金取りに追われる静香を救い出した雪。
青田先輩は、自分がおかしいせいで雪にトラブルを背負わせていることを泣きながら吐露し、その本当の心を打ち明ける。
雪は泣く青田先輩に手を差し伸べ、全てを受け入れるのだった。
物語のラストー
もし青田先輩に出会わなかったら、もし河村亮と出会わなかったら。
そんなパラレルワールドの夢をみる雪。
大学生活を振り返りながら、ついに卒業式の日。
今まで泣くことができなかった雪は、ようやく涙をこぼすことができる。
"他人と自分の違いを認め、距離を縮めることは、片方だけでなく互いに歩み寄る努力が必要な難しいことなのだ"と身をもって学び、青田先輩と2人で歩いていく。
全ては自分の選択と行動の結果。
さぁ選択する用意はできているよ。
感想・あとがき
最終回目前の青田先輩の回想を見れば、雪が3年生になってから親しく話しかけてきた行動のすべてが「ただ雪に喜んでほしかった、笑顔がみたかった」という青田先輩の、恋心だったことがわかります。
初めから嫌悪しながらも強烈に意識しあっていた2人。
一見サスペンスだらけだった先輩の数々の行動の謎が、全て幼い恋心に終結したことが、読者への最大のトラップではないでしょうか。
また、恋愛だけで見れば、遠くから自分をみていてくれる青田先輩か、すぐに走ってきて守ってくれる亮か、な三角関係も読者の話題でした。
亮は最後まで雪に直接的に好意を露わにするシーンはありませんでしたが、(亮自身も自覚していたかどうかわからない)大切な人を守るために側を離れ、真っ当に生きていく決意を表した彼に多くのファンがいるのも納得です。
最終回では、人の心にある影の部分を受け入れるか、突き放すか。様々な人生の選択と行動の結果を示した形となりました。
全ては自分の選択と行動の結果次第。 選択する用意ができた雪は大学を卒業し、これからの人生を自分の足で生きていくという形で締めくくられたのだと思います。
もしこれを大学生が読んだら、その時から人生が大きく変わるものになる。
そう確信するくらい、勝手に先入観を持ってしまう人間のあさましさ、人と人が関わることで起こる化学変化が如実に描かれた作品ではないでしょうか。
漫画としての魅せ方はさることながら、サスペンスとしてのストーリー構成も「感動した!」の一言で言い表せられないほど素晴らしい作品でした。
2回目に読む時は、「青田先輩のあの行動はこういう意味だったのか!」と次々謎が解けていく樣が爽快です。
読めば読むほど面白く、中毒者続出の『チーズ・イン・ザ・トラップ』。
日本で無料で読む方法は、LINE漫画になります。
無料チャージを待つか、コインで読む形式ですが、2018年10月31日までは全話無料開放され、コメント欄も大いに賑わっていました。今後もキャンペーンを通して、無料公開される可能性は高いので、ぜひチェックしてみてください。
また、時系列が複雑な作品なので、単行本で揃えるのもおすすめです。
表紙の書き下ろしイラストも素敵なんです!
読者を全て罠にかける魅惑の作品『チーズ・イン・ザ・トラップ』、ぜひ読んでみてください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!